ブルースロックファンに絶大な支持を得ているギタリスト、ジョー・ボナマッサ。
つい先日、4月の半ばに行われたリモートインタビューの要訳をお届けします。
今回は、今まさに多くのアーティストが向き合っているSNSでの活動や今後のライブの在り方についてです。
M: ミッチ・ラフォン
J: ジョー
アーティストとSNS
5:00
M: 今、僕らはコンサートが全く開催されず、新譜も全て発売延期になっている日々を過ごしている。
そんな状況で、キミにとってSNSでの発信というのはどれぐらい重要だと考えているの?
“Out of Sight, Out of mind”
=「人の目に触れる機会が減ると、人々は自ずと忘れていくものだ」
とよく言うけど、ロックミュージシャンにとってそれは好ましくないよね。
J: もちろんそうなんだけど、微妙なバランスだと思うんだ。
三週間やそこらで皆が自分のことを忘れるとは思わないけど、定期的に「やぁ、みんな。オレは元気にしてるぜ」って発信していかなきゃならない。
でも、それと同時に、一部のミュージシャンは自らの成長を妨げるんじゃないか、と思わせるようなやり過ぎの状態に陥っているように思う。
チケットはダウンロードできない
過剰なまでのSNS活動は長期的なブランド構築には良くないと思うんだ。
自分の楽曲を片っ端から家で演奏して発信したところで、それが後に人々をコンサートに向かわせるとは思えないよ。
そういった仮想現実的なライブやストリーミングは、僕がずっと恐れていたものなんだ。コンサートチケットはダウンロードできないんだ。
(*つまり、ライブとは実際に会場に足を運び観るものだ、と)
恐らく、コロナ収束後に興行が音楽ファンの安心感を取り戻すのは容易ではないだろうね。
ということで、(話を戻すと)僕が思う正しいSNS活動とは、やり過ぎにならない程度にバランスを取って、という感じだ。
ストリーミングライブの可能性
7:00
M: 今、キミは「コンサートチケットはダウンロードできない」と言ったけど、業界がコンサートの新しいビジネスモデルを模索している感じはしない?
例えば、一部のベテランバンド、ストーンズやU2、デフ・レパードが200日にも及ぶ心血を込めたツアーをやるよりも、LAにストリーミングライブ用のステージを組んで、一晩ショーをやって視聴者は10ドル支払う。
そうすれば、東京・パリ・モントリオール、どこであろうとショーを楽しめて、マーチャンのオンラインショップへのリンクも貼っておけばグッズも売ることが出来る。
これによってバンドもより長い時間家で過ごすことが出来て、バンドの寿命も延びるんじゃないかと。
(*ツアー中、ストレスによる飲酒・喫煙、仲違いなどが減ると思われるから)
J: 僕ら業界はその方向に向かっていると思うし、僕自身もそれをやらないと言っているわけじゃないよ。僕も新譜を出すとなったらそういうことを考えざるを得ないだろう。
個人的な意見を言わせてもらうと、2020年のコンサートシーズンはもう終わったと思う。
新たにどんな規則・対策を講じようとも、(恐らくファンは参加するのに二の足を踏むので)半分しか埋まらない会場でプレイするってのは…
それに、ただでさえコンサート興行は非常に厳しいビジネスモデルなんだよ。
莫大なコスト
8:15
多くの人は、チケットの価格帯がどうあれ、その大半がアーティストのポケットに直行すると思いがちだがそうではない。
クルーの給料からレンタカー費用、ガソリン代、ブリトー一つ買うお金もそこから引かれるわけさ。
もし、ストリーミングライブの時代が来ると、それは全く異なるビジネスモデルになるよ。コンサート興行の新たな形だ。
従来のコンサートとストリーミングライブの差は、言ってみれば、実際のレーシングカーを運転することと、(そのドライバー達がトレーニングで使用する)シミュレーターを運転することの差に似てると思う。
続く…
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