ジョー・エリオット (Def Leppard) #2 声を通じた探求・後編


「声」をテーマにしたジョー・エリオットへのインタビュー訳、先日の前編に続き今回は後編!



今回も色んなシンガーの名前がバンバン飛び出し、「へぇー、他のシンガーの歌唱もそこまで分析してるのね!?」という感じで私にとってはちょっと意外でした!


インタビュアーはカナダのシンガー・ソングライターEmm Grynerさんで、彼女もやはり声のプロのようですね。



今回のテーマは、「1stと2ndでの進化」「名言!」「ブライアン・ジョンソン&アクセル・ローズ」などです。


(*所々端折ってあります)


E: エムさん

J: ジョー


好き勝手やった1st


14:20 


J: 「自分の声を試す」という観点で話すと、(バンド初期の頃は)他のメンバーから与えられたどんなコード進行に対してもメロディーをつけて歌ったよ。


特に一枚目のアルバム(On Through The Night)では、ボーカル面に関してはほとんど僕の好きなようにやらせてもらえたからね。



時折サヴ(リック・サヴェージ)とのユニゾンもあったけど、一枚目に収録されている歌声のほとんどは僕のものだ。


本当はもっとQueen のようなコーラスワークもやりたかったんだけど、僕にはその声が無かった。


でも、2枚目(High ‘n’ Dry)では、マット・ランジのプロデュースになり、これが大きな転換点になったんだ。



彼は1枚目の時のように僕の好き勝手にはさせてくれなかった、トライはさせてくれるんだけどね。


まぁ、当時の僕には「自分の学習曲線がどう伸びるか」なんて見えてなかったな(笑)


僕らの1枚目と2枚目を聴き比べてもらうと、全く違う人が歌っているように聴こえると思うよ。


マットと自分を信じた2nd 


15:40


J: 彼をプロデューサーとして選んだのは僕らだし、彼が僕らをより良いバンドにすべく助言してくれていることに関して、僕らは言い争うつもりはなかった。



結果、2枚目での僕はより多くシャウトするシンガーになり、自分としては大好きなスタイルではなかったけど、彼がそういうディレクションをした理由はわかるよ。


時は1981年、僕らはイギリス人だ。


その頃、セッションの合間に話してる時なんかにもよく語ったけど、僕らは当時勢いのあったREO Speedwagon やSTYX (共にアメリカのバンド)よりももっと生々しいサウンドが好きだった。



マットもAC/DCやQueenが大好きで、当時の僕はジョー・ストラマー (The Clash) や、Sex Pistols みたいなパンクも好きだったから、それをちょっと言い訳に利用してね、


「僕はルー・グラム (Foreigner) みたいには歌えないし、それは今後も変わらないだろう。だから、そこ(技術的な基準)で戦うのではなく、自分らしくいきたい」と言ったんだ。


その「自分らしさ」を見つけるまでには時間がかかったし、自分が完全にそういうものを見つけられたとは思わないけど、その旅路は楽しいものだったよ。ぼくにはモチベーションがあったからね。



名言、飛び出す!


17:15


J: 僕は決して世界一のシンガーではないかもしれないけど、オジー・オズボーンやアリス・クーパーのように、僕が歌い出せば多くの人が僕の声を認識してくれる。


いつも例え話で言うんだけど、オジーが歌えば、サバスであろうとソロバンドであろうと、ロンドンフィルハーモニックとの共演であろうと、歌詞の3つ目の単語を聴くころには誰もがそれがオジーだとわかるんだ。



アリスもそうだし、イギー・ポップにルー・リードとか…ごく一部のシンガーだけが、そういう「歌の正確さよりもその歌い手のアイデンティティーが重要となる」次元に行けるんだ。


いわばそのシンガーの「スタイル」さ。


「スタイル」ってのは(正確さよりも)はるかに重要で、これについて話すのに、ミック・ジャガーより良い例はいないよ。


彼は世界有数のバンドで50年間に渡りフロントマンを務めてきた、こんな感じの声でさ。


(と言いながら、あの独特の声を真似!・笑 ↓18:00)



E: 笑


J: これは批判なんかじゃないよ、彼は素晴らしい!


もちろん、彼は他の功績を認められている多くのシンガーよりも全然上手い。


が、彼はポール・ロジャースじゃないし、ルー・グラムやブライアン・アダムス、スティーヴ・ウォルシュでもない。(=ほど歌に正確さはない)



でもさ、彼がミック・ジャガーでいてくれる方が、世界全体にとって良いことじゃないか。


(*素晴らしい名言ですよね!)



話し声と歌声のギャップ


18:25


E: あまり技術的な話に深入りするつもりはないのですが、これはちょっと訊いておきたくて。


あなたの声は話す時には低くて素敵な響きですが、歌う時にはあんなに高いところまで出ますよね。


それには何か秘訣があるんでしょうか?



J: もしそこに秘訣があるとすれば、僕はそれを商品化して販売してるさ(笑)


自分でもよくわからないけど、どういうわけかこういう深く響く話し声なんだよね、ニック・ケイヴほどじゃないにせよ(笑)


確かに、Yesのジョン・アンダーソンみたいに、ヘリウムガスを吸い込んだような高い感じではないな。


(*いらんことを…笑。確認しましたが、確かに地声高いです!)



自分でもどうやっているかは説明できないけど、僕のトップレンジの声はとてもクリーンに出るんだ。



B. ジョンソン / A. ローズ /  ドートリー


19:25



J: 本質的には、僕はロックシンガーというよりはポップシンガーだと思うんだ。


カバーアルバムでもやった David Essex の”Rock On” とか、僕にとってはああいった曲の方がLed Zeppelin の曲を歌うより全然楽なんだ。



ブライアン・ジョンソン(AC/DC)の歌い方ならかなり上手くやれるけどね。


ああいう歌い方は、高音域でファルセットに一定の「喉で生み出す歪み」を加えていくんだけど、これはアクセル・ローズが”Sweet Child O’ Mine” の高音で使っているテクニックと同じようなものだ。


僕はこれを「太い声」では出来ないんだけど、Daughtry っていうシンガー、キミも知ってるだろ?(TV番組American Idol出身のロックシンガー)



彼はサンタナのアルバムでDef Leppardの ”Photograph” をカバーしたんだけど、まさにその歌唱法を太い声でやっててさ、「ワォ、これはすごい!」って感じさ。


一体どうやってあんな歌い方が出来たのか…あれは僕のDNAにはない歌唱だよ。


*ジョーは他のシンガーの歌唱とかにあまり興味が無さそうなイメージだったので、これだけのシンガーの名前がサラッと出てくるのはちょっと意外でした!


終/



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