J.J.フレンチ (Ex Twisted Sister) #2 ツェッペリン&デッドとの仰天思い出


元Twisted Sister のギタリスト、J.J.フレンチのインタビュー訳・後編!


前回のロブ・ハルフォードの話は非常に興味深いものでしたが、今回も別の意味で興味深い、いや、ぶっ飛んでるお話です!(笑)



今回のテーマは「ツェッペリン初体験」「覚えていたロバート・プラント」「フィルモア・イーストならでは」等です。


J: ジェイ・ジェイ

I: インタビュアー



100%ニューヨーカー!


9:45


I: あなたは人生のほとんどをNYで過ごしてきましたよね。


NYからは多くの素晴らしいミュージシャンが生まれ、独特のクリエイティブなエネルギーがあると思います。


NY出身・在住であるということはあなたにとってどのような意味を持ちますか?それを自身のアイデンティティーだと捉えている人もいますが。



J: オレにとってもそうだね、マンハッタンで生まれ育ったということがアイデンティティーになっていると思う。


これはオレが以前娘によく言っていたことなんだけど、「NYに住み、街を歩き、それで特に何も感じないのであれば、世界中どこに住んでも同じだ」と。


I: それは間違いないですね!



J: この街には素晴らしいエネルギーや雰囲気がある。


オレの自伝にも書かれているけれど、オレの人生はストリートから始まったんだ、15歳の頃ドラッグの売人としてね。



偶然だったZeppelin初体験


10:40


J: 1967年~1972年にかけて、オレはヒッピーライフスタイルのあらゆることを経験したよ、キミ達現代の若者が興味をそそられるような、ね。



「ジミヘンやツェッペリンを生で見るってどんな感じだったんだろう?」って思うだろ?


あの頃、オレ達は毎週末のように彼らのライブを見てたんだよ。チケットだって3ドルぐらいさ。


12ドルあればツェッペリンが4回も見れた時代だ。



もし12ドルが無理な時は、セントラルパークで開催されていたフェスに行ったものさ。わずか1ドルでジミヘンが見れたんだ。


オレはIron Butterfly の前座でツェッペリンを見たことがあるんだ、最前列でね。


後に大人になってから、ジミー・ペイジ、ロバート・プラントと一緒に食事する機会に恵まれた時、オレはこの話をしたんだ。


実は、オレはこの時ツェッペリン目当てで見に行ったわけではなく、ドラッグを売りに会場のフィルモア・イーストまで行ったんだ。



マリファナが詰まった袋を持って、買い手との待ち合わせ場所だったフィルモアの地下まで行ったんだ。


ところが、相手が一向にくる気配がなかった。しかもその日は1月28日、真冬の極寒だ。


すると、男が「最前列、最前列あるよー」と言って近づいてきた。(*ダフ屋・笑)


で、ヘッドライナーを訊いたらIron Butterflyっていうじゃないか。



オレはその半年前に彼らのライブを見たことがあって知ってたから、その日の取引を諦めて彼らのライブを見ることにしたんだ。



Led ZeppelinⅠ全曲!


12:00 


面白いのはさ、(超有名プロモーターでフィルモアの創設者)ビル・グラハムは当時、全然ジャンル違いのグループを前座にブッキングして、とんでもないパッケージのコンサートをよく組んでたんだ。



この日のオープニングは、なんとゴスペルグループだった。


I: Iron Butterflyとツェッペリンの前にですか!?(笑)


J: そうだ。Porter’s Popular Preachers というクリスチャンのゴスペルグループさ。オレはゴスペルも好きだったから、結構楽しめたよ。曲によっては一緒に歌ったしね。



彼らのステージが終わり、マリファナをタバコにして吸っていると、ツェッペリンが出てきた。


この日、彼らは1stアルバムをそのまま全曲プレイしたよ。


I: えぇ!?


J: そして”Moby Dick”⇒ボーナムのソロもあった。ジミーはテレキャスターをリッケンバッカーのアンプに繋いで弾いてたな。



歳を重ねると、こんな風に昔のことの方が鮮明に記憶に残ってたりするだろ?



覚えていたロバート・プラント!


13:15


J: で、オレは大人になってからジミー・ペイジのスタジオでレコーディングする機会にも恵まれ、彼らと顔見知りになり、この時の話をしたんだ。


「気を悪くしないで欲しいんですが、実はあの日、僕はツェッペリン目当てであのショーを見に行ったわけではなかったんです。でも、あなた達はほんとに素晴らしかった」と。



今でも忘れられないのが、ある曲のAメロで楽器隊が演奏を止めて、ロバートがマイクを口元から離して、生声でオーディエンスに向かって歌ったんだ。


I: マイクを通さずにですか!?


J: あぁ、そうだ。


しかもオレは最前列にいて、(売り物にならなかった)マリファナをモクモク煙を立てながら吸いまくってたんだ(笑)



I: 会場のスタッフはよく消防に電話しませんでしたね!?(笑)


J: この話をロバートにした時、「あの男はキミだったのか!?あの時、あの煙のおかげで全然客席が見えなかったんだぞ!」って大笑いしてたよ(笑)



Only at the Fillmore East


15:00


J: でもな、この頃はこういった体験は特別なことじゃなかったんだよ。


オレ達は毎週のように、Crosby Stills &Nash やThe Who、ジミ、Grateful Deadのようなアクトを見る機会があった。


オレはGrateful Dead を通算で27回見たよ。



I: すごいですね!


J: 実は、フィルモアの公演で、ジェリー・ガルシアがオレに合成麻薬をくれたこともあった。あのバンドとファンの関係性において、これ以上のことってあるか?(笑)


オレは公演中に楽しもうと思って自分の分をあらかじめ持ち込んでたんだけど、彼らがステージに出てくる時にそれを失くしたことに気が付いて、一人で慌ててたんだ。



すると、会場の係員が降りてきて、客を全員立たせて皆で大捜索さ!


“Only at the Fillmore East” =「フィルモア・イーストならでは」だろ?(笑)


(*ヒッピー系のバンドがよくプレイしていたから)


I: 最高の話ですね!(笑)


J: で、なかなか見つからないもんだから、一度バンドが袖に引っ込んでしまった。



すると、袖に引っ込んだジェリーがスタッフに何やら耳打ちして、彼はポケットから出したものをスタッフに託し、それをオレに届けてくれたってわけさ。


終/



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