今回のインタビュー訳シリーズは、Linkin Park, Red Hot Chili Peppersの作品でエンジニアを務め、Motley Crue のNew Tattoo にも携わったイーサン・メイツさんのインタビュー訳の抜粋をお届けします!
個人的には、あまりレコーディングの様子が聞こえてこないバンドなので、非常に興味深い内容でした!
I: インタビュアー
E: イーサン
リンキン、スタジオに飽きる!
9:10
I: Linkin Park のことで何か面白い思い出はありますか?
E: “A thousand Suns” アルバムをLAのNRGスタジオでレコーディングしていた時の話なんだけど、そこにはライブ撮影が出来るようなすごく大きな部屋があってね。
ある時、Gt.のブラッドは毎日毎日目の前にある同じ景色に嫌気がさしてきたんだ。
(*スタジオなんだから当たり前なんですけどねぇ…笑)
そこで彼は、スタジオのスペースを風船で埋め尽くすことを思いついたんだ。
ある程度の風船を調達してきてやってみると、彼は「いい感じだね、もっと増やそう!」と。
こうなると当然の如く、スタジオの若い連中はスタジオのラウンジで必死に風船を膨らませるのが仕事になる。
ところが、そんな感じでやっていたらいつまでかかるかわからないので、僕の隣でProtools のエンジニアをやっていたジョシュと僕は、街のパーティーグッズなんかを扱ってるお店に電話で問い合わせたんだ。
すると、ヘリウムガスを積んだトラックがスタジオにやって来て、そこで無数の風船を膨らませ始めた。
I: とんでもない話ですね!(笑)
E: 最終的に、バンドの機材やドラムがセットされていたその大きなスペースの腰辺りまでは赤い風船で埋め尽くされたんだ。
I: レコーディングのサウンドに影響は?
E: もちろん影響したさ!
録音してる最中にいきなり割れたりして、せっかくのテイクが台無しになったりね。あと、200万する高価なマイクを静電気で壊してしまうんじゃないかと心配したり…。
確かに面白くはあったけれど、僕やエンジニアにとってはストレスだったよ。
風船だから当然長持ちしないし、結局しばらくして全員で針を持って割っていくハメになったさ。
これは結構面白かったけどね。
I: “A Thousand Sun” のレコーディングで “Thousands of Balloons” とは(笑)
スタジオでは存在感を消す
14:14
E: 僕はスタジオでのセッション中、存在感をなるべく消したいんだ。
なので、例えばバンドやアーティストが一週間とかそれ以上でスタジオに入る場合、出来る限り早くスタジオに行って、問題やトラブルが一切起きない状態にしたいんだ。
僕のせいでアーティストが何かのセッティング待ちとか、待ちぼうけを食らうという状況にしたくないんだよ。
創造性を仕事にしている彼らを前に、「このマイクを変えるまでちょっと待ってくれるかな?」とか「あ、これが壊れちゃった」なんてやっていると、絶対に大事な瞬間を逃してしまうことになる。
それって最悪なことなんだよ。
だから、僕は事前にしっかりとプランを立て、そういったことが起きないように心がけているよ。
スマホでのレコーディングは可能?
17:40
I: 少し前、僕はNirvana のレコーディングを手掛けたエンジニア、ジャック・エンディーノと話す機会があって、こんなことを訊いてみたんです。
もし、僕が自分のスマホを使って静かな環境で自分の歌を録音して、それをプロにミックスしてもらったら、従来のスタジオで録音された音源と区別がつくと思いますか?と。
彼の答えは「基本的にノーだ。近年のテクノロジーの進歩はそれほどにすごいからね」と言うことでした。
あなたの意見はどうでしょう?
E: んー、それはものによりけりだろうね。
というのも、i-phoneでスタジオの超高級マイクと同レベルのボーカルを録るというのは無理だ。
ただし、僕自身もこれまでに様々なサウンドを自分のi-phoneで録音し、それを活用してきたのも事実だ。
それは音質が良いからじゃない。クールに聴こえるからだ。
こういう端末にはもともと内臓のリミッターがあり、音を歪ませないようにしてあるんだ。
なので、それを通してドラムやピアノを録音すると、独特の圧縮されたサウンドが得られる。
僕はこれまでに様々な音をi-phoneで録音し、それをProtools に取り込んで他の楽器やサウンドと一緒に混ぜてミックスしてきたよ。
でも、もしマライア・キャリーがスタジオでC12マイクを使って録音したものと、彼女がi-phone に向かって歌ったものを比べたら、1000% その違いは分かってしまうだろう。
続く…
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