これまで、インタビュー要訳シリーズでも時々紹介してきたエディ・トランク氏。
彼はロック系ジャーナリストなので、普段はインタビューをする側ですが、最近はコロナの影響で、今後の業界の展望についてインタビューされることも増えているようです。
今回は、「音楽の価値とネットの影響」というテーマで彼が受けたインタビューを訳してみました。
正直、私は全く同意できない点もいくつかありましたが(笑)、だからこそご紹介する意味があるのかも?と思い、取り上げてみました。
彼の話、皆さんはどう思われるでしょうか?
音楽を「所有する」
0:01
E: 今起きている最大の問題…僕が思う一番の問題は、インターネットの副産物だ。
そこからの影響で多くのレコード会社は手を引いてしまったし、レコードショップなんてなおさらだ。
僕はレコード店で働きながら育ったんだけど、今でも形あるCDが大好きなんだ、「音楽を手元に置いておく」ことがね。
それが僕の望む音楽の在り方だ。
でも、音楽ファイルやストリーミングといった形態は、人々の「物質的に音楽を所有したい」という欲望を失くしてしまったと思う。
そういったものが、音楽の価値を損ねてしまったと僕は考えているんだ。
飽和状態と番人
0:55
僕が見ているもう一つの問題は「完全なる飽和状態」だ。
レコード会社の終焉によって、曲やバンドの良し悪しを見る「番人」がいなくなってしまった。
今や、ネットやSNS上には人々が対処するにはとても多すぎる量の情報(楽曲)が溢れていると思う。
音楽制作の現場から世に発表されるまでの間に、それをチェックする番人やフィルターが存在しないんだ。
一部の人はそれを肯定的に捉えるかもしれないし、想像性の面から見ればそれは当たってるだろう。
今やレコード会社のシステムは崩壊し、新人アーティストの発掘・育成を行うA&Rもいなくなった。
その代わりに、誰もがiphoneでMVを作れて、誰もがPCで音楽を制作出来て、誰もがその楽曲をネットで人々に届けられるようになった。
繰り返しになるけど、この過程にはチェック機能が無い。
あらゆるポジティブなことは必ずネガティブな要素とともにやってくるから仕方ないのかもしれないけど、こうして情報や楽曲が溢れかえることで、その中で抜きん出て人の注意を引くことは余計に難しくなってしまう。
そして、こんな状況では、そのような(未熟な)アーティストに対して「キミの曲はまだ十分良いとは言えない」とか「まだ世に作品を出すレベルにはない」と言ってくれる人がいないんだ。
一方で、本当に市場のことを考える人間はどんどんそういった情報に溺れていってしまう。
音楽ファンや消費者目線で見ると、これは市場の「濃度が薄まる」ことになっていると思うよ。
例えば、一か月で30枚のアルバムをリリースするレコード会社があるが、彼らはそういった作品をリリースするだけリリースして、あとは何もしない。
ただただバンドをその既存のシステムに放り込んでいくだけだ。
こんなんじゃファンは「何が本物で何がそうじゃないか」わかりっこないよ。
続く…
うーむ、いかがでしょうか?
確かにネットの普及で音楽の聴き方が劇的に変わったのは事実だと思いますが、私個人的には、やはりNapsterが登場した時にレコード会社が迫り来る危機を真剣に考えていなかったことも非常に大きかったと思います。
あと、後半の「番人がいない」、「何が本物で何がそうじゃないか音楽ファンにはわからない」というのはちょっとねぇ…(汗)
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