Mr. Big のサポートや Black Swan / Echobats といったプロジェクトバンドでも精力的に活動しているドラマー、マット・スター。
そんな彼のインタビューも今回で最終回となります。
今回は、子供のころからずっと憧れていたKISS の元メンバー、エース・フレーリーのバンドへの参加についてです。
I: インタビュアー
M: マット
KISSファンの友人に…
11:26
(*前回の続き・エースのツアーに向けてバンドと音合わせすることになったマット)
M: その後、オレはNYに飛んでエースのバンドのベーシスト、アンソニーらとスタジオに入ったんだ。
15分ほどプレイすると、彼らは「OK、じゃあまたな」と言って終わりさ。
数週間後、彼らは僕に電話をくれて、エース・フレーリーのバンド加入が決まった。
彼らはセットリストも送ってくれたんだけど、当然子供の頃から慣れ親しんだKISS の曲さ、全部知ってたよ。
僕の友人に、Gov’t Mule でベースを弾いているヨルゲン・カールソンがいるんだけど、彼も KISS の大ファンなんだ。
彼に「よぉ!オレ、エースのバンドで叩くことになったんだ!このセットリスト見てみろよ」ってメールしたら、アイツ「F@ck you!」って返信してきたよ(笑)
I: (笑)最高だな!
M: Shock Me, Deuce, Hard Times…当然彼も知ってる曲ばかりさ。
NYのスタジオでリハーサル
11:40
M: 問題は、「最近」彼らがどんな風にプレイしてるかを吸収することだった。レコードのリリースからは年月が経ってるし、必ずしもオリジナル通りにはプレイしてないだろ?
僕らはバンドだけで2日間リハをやり、エースは3日目に合流した。
オレ達はマンハッタンのGibson のショールーム前で待ち合わせたんだけど、彼はギターを持ってフラッと現れたんだ、まるで “Into The Night” のMVみたいにね(笑)
あれはクールだったよ。
そこから一緒にスタジオでプレイし始め、2曲目には彼が僕に親指を立てて合図してくれて、さらに4曲ぐらいやったところで彼は「OK、良いじゃないか」と言って帰って行ったよ。
残った他のメンバーに「これって、良かったってことか?」と訊くと、「ああ、問題ないよ。エースは全曲をリハーサルするタイプじゃないから」って。
「歌え!」
13:15
でも、僕が初めてエースと一緒にプレイした曲は、実は ”God of Thunder” だった。
スタジオに入ってセッティングが済むと彼があのリフを弾き始めたから、オレも合わせてドラムを叩き出した。
イントロが終わりに差し掛かかった頃、エースが「行け!」とばかりにオレの方を振り返ったから、オレはジーンの声に寄せて歌い出したよ(笑)
Gt.ソロの辺りまでプレイしたところでOKが出て、「歌も良い感じじゃないか。何なら『血吐き』もやるか?」って言われたよ(笑)
意識の持ち方
13:55
I: キミは幼少期にKISS に憧れてロックの道に進み、その後は色々と苦労もしたけれど、ある日突然キミがアイドルとして見ていた人と一緒にプレイすることになったんだから、特別な思いだっただろ?
M: もちろん、ある意味とても現実離れしてたよ。
でも、それと同時にその状況を当然のことと受け止めてる自分もいたよ。
僕は子供の頃からずっとKISSを聴き、雑誌でも追い続けたわけだから、14歳の頃の自分が描いていたことを今具現化してるんだな、と思ったよ。
このエースの一件が叶った時、この宇宙には「僕に与えられるべきもののリスト」があり、僕の準備ができた然るべきタイミングで、それがちゃんと成されるようになっているんだな、と思えるようになったんだ。
「そうか、これが最初の一つだな」、ってね。
終/
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