モトリー・クルーなど80年代を代表するバンドを多くプロデュースし、時代の音を築いたトム・ワーマン。
彼のインタビュー訳・最終回!
今回のテーマは「仕事人ミック・マーズ」と、「実は契約解除寸前だったモトリー!?」です。
I: インタビュアー
T: トム
しっくりこなかったモトリーの音
7:30
I: キミとモトリーの関係性はどうやってスタートしたの?
T: 当時、エピック・レコードに僕の知人がいて、モトリーの “Too Fast For Love” を僕に送ってきたんだ。
彼女はNYに、僕はLAにいて、「このバンド聴いてみるべきよ」って音源が送られてきたんだけど、どうもルーズ過ぎる感じがして、僕の好みではなかったんだ。
あの当時の僕は、プロデューサーとして、しっかりリズムとピッチが合っているものが好きだったからね。
その後、僕はエレクトラ・レコードのA&R になり、僕の部下だったトム・ズータット(ズータウ)がモトリーと契約したんだけど、トムは僕がモトリーをプロデュースすべきだと言ってきた。
しばらくして、バンドが僕のオフィスにやって来てミーティングを持ったんだけど、ニッキーは気難しいヤツでね、トミーが彼を説得したみたいだった。
多分、僕らはそのままスタジオでのリハに入ったんだけど、そこで少し打ち解けて「じゃあ、オレ達のレコードをプロデュースしてくれよ」という話になったんだ。
協力的だったミック・マーズ
12:15
T: 僕は特に “Girls Girls Girls” のサウンドが好きなんだ。あれこそ、ミックが遂に素晴らしいギターサウンドを得たアルバムだと思うんだよ。
ファンはサウンドのボトムがしっかりしている “Shout At The Devil” の方が好みみたいだけど。
僕が手掛けたモトリーの作品では、“Girls Girls Girls” と “Wild Side” が最もよくプロデュースされた曲だったように思う。他の人達が同意見かはわからないけどね。
ミックは非常に優れたギタリストだよ。性格も目立ちたがらない控えめなヤツで、モトリーの中では彼との関係が一番良かったな。
彼は何一つ僕に厄介な問題をもたらさなかったし、とても協力的に仕事を進めてくれたよ。
(*裏を返せば、他のメンバーは…笑)
ゴミ扱いされたモトリー
19:25
I: “Shout ~” の予算はどれぐらいだったか覚えてる?
T: 詳しくは覚えてないけど、そんな多額ではなかったよ。
僕がエレクトラで働き始めてしばらくした頃、当時の社長が会長職に昇格して、代わりにワーナーから別の男がやって来た。
この男が非常に手厳しいヤツでね。彼はワーナーでA&Rを務め、いくつかのアーティストを大成功に導いたんだ。彼自身も着飾っていて、間違いなくやり手だった。
彼は僕にこう言ったんだ。「私がこの会社で一番最初にやる仕事は、モトリー・クルーを追い出すことだ。奴らはレーベルの恥だ」とね。
なので、僕はあらゆる手段を使って間接的に伝えようとしたのさ。
「ボブ、誰かが月々の固定費を払わなきゃいけないんです。確かに、あなたがこれまでに出がけてきた音楽は素晴らしい。一流アーティスト・一流の曲ばかりだ。
しかし、ここにあるのはロックンロールなんです。これには大衆を惹きつける魅力があり、あなたは理解していないが、私はこの音楽を理解しています」と。
直接的には言わなかったけど、そのニュアンスは伝えようとしたよ。
幸運にも、彼がバンドを追い出す前にタイミングよく “Too Fast For Love” が売れ出して、彼は契約を解除出来なくなってしまった。
もしそんな売れてるアーティストの契約を切ったら、自分の手腕を疑われるからね。
終/
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