ジョー・ボナマッサ #2 / ライブのマジック&原点回帰


いつもビシッとスーツをキメて、ブルースロックをおしゃれにプレイするジョー・ボナマッサ。



彼のインタビュー要訳・後編です!


現在、新譜発売も興行も全てストップしている音楽業界ですが、それを中から見ている彼らはどのような未来を予想するのか、非常に興味深い内容です。



M: ミッチ・ラフォン

J: ジョー


ライブのマジックとは


9:05


実際のコンサートには、力学的なものが働く。オーディエンスは気付いていようがいまいがライブに参加し、あの空間のエネルギーの15%ほどは彼ら自身なんだ。



バンドは本番前、彼らがいない状態でサウンドチェックやリハをやるだろ?(だからその状態の感覚も把握してる)


で、夜になってオーディエンスが入った状態でプレイすると、突如15%増しのエネルギーが彼らとバンドから発せられるんだ。


こうやって、僕らはお互いに作用しているんだよ。



でも、もしストリーミングライブとなると、こうした感覚は失われて、やってる側の僕らは多分リハーサルみたいに感じるだろう。



練習と実戦の差


9:50


M: 僕もこれまでに本番前のサウンドチェックに何度となく立ち会ってきたけど、例えば “Rock N Roll All Nite” でも、アリーナにあれだけのオーディエンスが入って初めてあの曲らしく聴こえるんだよ。


聴いてる曲は同じはずなのに、体験としては同じではないんだよ。



J: こういうことだ。


以前、うちのサウンドクルーが僕らバンドにこう言ったんだ、「キミらはリハの時にこのセッティングでOKだって言ったのに、ショーが始まるといつもステージ上でボリューム上げるじゃないか」って。


でも、実際には僕も含め、ステージ上のメンバー誰もボリュームを触っちゃいなかったんだ。



つまり、単純に僕がよりハードにプレイしたために、「大きく聴こえた」わけさ。


トレーニングと実戦の差みたいなもんだよ。


実際のショーでは、僕は会場の一人一人に届くようにプレイする。それを感じてもらえるようにね。



それこそ、アーティストがステージを降りるとクタクタに疲れる理由なんだ。エネルギーがオーディエンスの方に移ってしまうんだから。


これも、ストリーミングライブでは失われてしまうだろうね。



原点回帰の機会に


11:00


M: 最近、音楽ファンの間では、コロナ危機が去った後にチケットの価格がどうなるかが議論されているんだけど、キミはどう考える?


僕個人的には、チケット価格を下げざるを得ないんじゃないかと思うんだけど。



J: 僕はケースバイケースだと思う。


一部のライブはこれまでと同じような価格だろうけど、それでも大半は下がるだろうね。


ただ、それは必然的に僕らの利益が減ることになるから、あらかじめの制作予算も縮小される。



それを前提に使えるライティングの数なども決めていくことになるだろうし、多くの再調整が必要となるよ。


まぁ、この10年ほどは業界全体がそうやって(演出面で)肥大化してきたから、これを機に「よし、そもそもオレはミュージシャンなんだから、しばらくは基本に立ち返って音楽だけで勝負しよう」というのも良いんじゃないかな?



昔は演出などほとんど無かったわけだし、これはアーティストとしての自分の優先順位を確認する良い機会になると思うよ。


終/