トニー・フランクリン #1 / レジェンド達と組んだ The Firm


独特のサウンドを奏でる「フレットレス・ベース」を使って自身の個性を構築したベーシスト、トニー・フランクリン。


そのキャリアを通じて、若い頃から様々なレジェンド達とバンドを組んだりサポートをしてきました。



そんな彼の今年1月のインタビュー要訳をお届け致します。


ジミー・ペイジ & ポール・ロジャースとのバンド “The Firm” に若くして参加することになった経緯や、彼の夢が叶った瞬間など、非常に面白い内容でしたのでぜひどうぞ。


I: インタビュアー

T: トニー



The Firm加入の経緯



I: もともとキミがロイ・ハーパーのサポートをやっていた時に、ジミー・ペイジがキミを「発掘して」、The Firm への参加をオファーされたんだよね?


T: 1984年のロイのアルバムにジミーが参加することになってね。彼らの親交は70年代からずっと続いてたんだ。



で、必然的に僕も一緒にプレイする機会がたくさんできて仲良くなったんだけど、ある時ジミーが「今新しいバンドを組むところなんだけど、ちょっとリハーサルに参加してくれないか?」と誘ってくれてね。


単純に、ゆるい感じの誘いさ。



「いいか、これは新たに始まるスーパーグループだ。キミにはその一員になってもらう」みたいな、仰々しい感じじゃなかったよ。


だから、ジミーが僕を「発掘した」というよりも、ただ彼と一緒に仲良くしてただけだね。



本物のミュージシャンの音


3:23 ~


I: The Firmの楽曲に関して、製作途中にスタジオリハーサルで鳴っていた音と実際のレコードに収録されたものはどれぐらい音が違っていたの?



T: 全く同じ音だよ。全ての音が生々しくオーガニックで、僕らはそれをそのままレコーディングしただけさ。ライブに関しても同じさ。


1984年当時のリハーサル段階のデモがあるんだけど、今聴き返してみてもアルバムと同じように聴こえるよ。


つまり、僕らは楽曲の「本質的なもの」を捉えていたということ。



そして、どんどんライブをこなすにつれて、僕らはステージ上で音のコミュニケーションを交わし、それをさらに大きくしていく。


僕らミュージシャンはこうやって探求していく。これこそ僕が音楽の好きなところ、「常に進化していく」んだ。



オープンだったレジェンド二人


4:26 ~


I: キミの音楽的なインプットや作曲に対するポール・ロジャースとジミー・ペイジの姿勢はどうだった?


T: 彼らはあらゆる点においてオープンに接してくれたよ。偉そうに「それはやるな、これをプレイしてくれ」とか、そんなことは全然なかった。



あの頃の僕はまだ24歳前後だろ?あまり多くを考えたりしなかったよ。僕らはバンドで、僕は自分のやるべきことをやってた、という感じかな。


でも、今振り返るとすごいことだったんだなと思うよ。


「自分はそんな若さで当時既に伝説的アーティストだった、ポール・ロジャース、ジミー・ペイジと一緒にやっていたんだ」ってね。



彼らは基本的に、僕のやりたいようにやらせてくれたし…一体どうやってあんなことが起きていたのやら。


一枚目の時には既に曲が書かれた後だったんだけど、二枚目の制作時には僕もいくつか曲を持ち込んだよ。



二枚目に収録された “Dreaming” は僕が書いたものだ。素晴らしいことだよ。時間が経つにつれて、よりその意義を感じてる。


I: 過去の名盤を聴き漁っているロックファンの間では、あの曲が The Firmの二枚のアルバムの中でベストな一曲だ、とも評されているんだけど。


T: 僕にはわからないな。そう言ってもらえるのは嬉しいことだけどね。


続く…