お届けしてきたシェリル・クロウのインタビュー要訳最終編!
今回は音楽フォーマットの移り変わり、レコード回帰、大ヒット曲 "All I Wanna Do" にまつわるストーリーがテーマです。
I: インタビュアー
S: シェリル
音楽販売の形について
14:00
I: あなたは長いキャリアを通して、CDが飛ぶように売れていた時代も、今のように全く異なる世界も見てきたと思うんだけど、あなた個人ではどのような音楽の販売形態が好みなの?
S: 私はアルバムやレコードが大好きよ。昔はツアーに行くときもたくさんのCDを持って行ってたわね。
で、ある時からまたレコードを買い始めたんだけど、息子たちがレコードと共に育っているのは素敵なことだと思っているわ。
今、アナログに戻ってきている人は多いんじゃないかしら?
いつかまたフルアルバムが主流になる日が来るかどうかはわからないけど、私は出会うアーティスト皆に「アルバムを作りなさい」って助言しているの。
シングルにはならないけど「あなたにとって大切なアルバムの曲」というのは、いつか「それを出して本当に良かった」と思う日が来るの。
そういう曲は世に放たれる必要があるのよ。
音楽的教育
15:40 ~
I: 今日のインタビューであなたがお子さんのことをたくさん話してくれているのは興味深いんだけど、彼らはちょうど多くのレコード会社がターゲットに見ている世代のケーススタディだと思うの。
彼らが今レコードに魅了されているのはあなたにとって驚きかしら?
S: 多分、私が古いレコードを家でかけるのを彼らは変だと思っているんじゃない?「ママ、その古臭いの一体何?」みたいにね。
でも、一度針を落として聴き始めると、彼らは結構気に入るのよ。
私も覚えているもの。正しい位置に針を落とす感じとか、盤が回転するのを眺めながら、あの溝から音が出てくる不思議な感覚とか…。
うちの子達が古い曲を気に入ったのも驚いたわ、アレサ・フランクリンや…、(安堵のため息を吐いて)カーティス・メイフィールドとか…。
自分が正しい仕事をやったと感じているわ。
I: 任務達成というところね!(笑)
(*日本の音楽好きの親が、子供に山下達郎や美空ひばりの良さを教えるようなもの)
大ヒット曲の裏話
16:40 ~
I: 今年は”All I wanna do”の発売から25周年になるのよね?
S: そうなの、私は8歳だったわ!(会場爆笑)
I: あれ?6歳じゃなかったっけ?(笑)当時のことで何か印象に残っていることってある?
S: 私たちはLA郊外・パサディナのスタジオでレコーディングセッションをやってたんだけど、近くに素敵な本屋さんがあって、プロデューサーがそこで小さな詩集を買ったのよ。
あとから自分の歌詞に書き換えるつもりで、作った楽曲に私がその詩集から拾った言葉を仮歌として載せてたの。
で、曲の形が見えてきて歌詞を書き換えようと何度もやったんだけど、上手く行かなくて。
最終的に、私はその詩集の作者だったワイン・クーパーに連絡して、著作権収入の50%を彼に約束し、使用許諾を得たってわけ。
彼ったら「えー、マジで!?」って喜んでたわ(笑)
I: あの曲は瞬く間にあなたにとって最大のヒットとなったわけだけど、あの曲が完成した段階で「これはヒットになる」と予感があった?それとも「出してみるまで分からない」みたいな感じ?
S: 面白いことに、アルバムに向けて曲が揃って曲順を考えてた時に、私はずっと「この曲は捨て曲だから、アルバムに入れるべきじゃないわ」って言ってたの。
だって、歌詞だって自分で書いてないんだから(笑)
ところが、当時高校二年生だった私の弟が「この曲はヒットするから、絶対にアルバムに入れろ!オレやオレの友達はこれが大好きなんだから!」って言うのよ。
で、シングルで出したらあっという間にチャートを駆け上がって行ったから、私は弟に電話して「あなたは今日から私の新しい*A&Rよ!」って言ったわ(笑)
I: 高校生って流行に敏感だからわかるのよね!
S: ほんとそうなのよ。
(*A&R…レコード会社内でアーティストの制作やマーケティングに関わる職)
終/
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