ブッチ・ヴィグ #2 / グランジ・ムーブメント


今回からご紹介するのが、グランジ・オルタナティブサウンドを定義したプロデューサー、ブッチ・ヴィグのインタビューです。



80年代から90年代にかけて起きた、ロックシーンの大きな変化。その変化を裏で支えたブッチの興味深い言葉です。



グランジって何?


0:19 ~


ある人が僕に初めて「グランジ」という言葉を教えてくれた日のことを今でも覚えてるよ。


どういうわけか、僕もその一部になってしまったんだ、全然グランジ(荒れ果てた・薄汚い)ぽく聴こえないレコードもたくさん作っていたのにね。



ある時バーにいたら、居合わせた人がシアトルのグランジシーンについて僕に話してきたんだけど、僕は「何それ?」って感じでね。


(グランジバンドを数多く手掛けたブッチは、シーンの中心地・シアトル出身だと思われていたが、実際はウィスコンシン州出身)


彼らが言ったんだ、「キミがプロデュースしたレコードのいくつかは、まさにグランジサウンドなんだよ」って。



彼らの説明を聞いた後、店内のBGMでビートルズの Helter Skelterがかかったから、僕は友人に「これこそが世界で最初のグランジ・ソングだよ」って言ったんだ。


*つまり、グランジは自分が80~90年代に作ったジャンルではなく、遥か昔にビートルズが既にやっていた、と。


Nirvanaのデモテープ


0:45 ~ 


*Sub Pop Recordsのジョナサンが、ニルヴァーナ ”の”Bleach” を送ってきて、プロデュースしたいか訊いてきた。


僕は”Bleach”も良いと思ったけど、1つのリフでいかにもパンクって感じがする”School”の方が大好きだった。



でも、僕を本当に振り向かせた曲は”About a girl” だった。


あの曲はジョン・レノンとポール・マッカートニーっぽい感じだったからね。




*サブ・ポップレコード

ニルヴァーナやサウンドガーデン等、多くのグランジバンドを輩出したインディーズ・レーベル。ジョナサン・ポーンマンは創設者の一人。



Teen Spiritの破壊力


1:15 ~


“Nevermind”のレコーディングを始める数週間前、カート・コバーンがリハーサルを録音したテープを送ってきて、そこには新曲だった”Come as you are”や”Teen spirit”が入っていた。



テープの冒頭で、「やぁ、ブッチ。僕らの新しいドラマーはデイヴ・グロールに決まったよ。世界最高のドラマーだ!」って言った後、”Teen spirit” の演奏が始まった。



安物のカセットデッキだったから、音圧に耐え切れなくて音割れが酷かったけど、非常に印象的だった。


コード進行がとても気に入ったし、かなりパワフルだった。歪んでいたけどね。


続く…


グランジの仕掛人とも呼ばれるブッチが、当初「グランジって何?」だったとは驚きですよね。(笑)


多分、この段階では単純に「自分が良いと思ったバンドを、良いと思うサウンドに仕上げていただけ」だったんでしょうね。


次回、ブッチのインタビューPt.2へと続きます!