アンディ・ウォレス #2 / 素早いミックス


Recording Revolution



伝説的ミキシング・エンジニア、アンディ・ウォレスから学べる技術をRecording Revolutionのグラハム氏が解説してくれています。


*記事中に挿入してあるアルバム・曲は全てアンディがミックスした作品です


#1 素早いミックス


1:07~


我々は一度ミキシングを始めると、それに集中し、作業はまるで手術のようになり、たくさんのプラグインを使って音を修正しようとして、そのトラックにのめり込み過ぎてしまいます。


しかし、私が長年推奨し続けているのは、「可能な限り素早くミックスしろ」ということ。これはアンディも同じ意見のようです。



彼はあるインタビューでこう言っています。


「私は普段作業をさっさと仕上げるんだ、手短にモニターミックスをやる感じで。
あとは、全ての要素がどう聞こえるべきかを確認するためにサッとバランスを整えるぐらい。これで私はそのトラック全体の基本的な感覚を掴む」

- Andy Wallace


素早くすべき理由①

木よりも森を見れる


1:53 ~


ミキシングを素早く行うとなると、あなたは聴き手が期待する最も現実的なバランスを作るべく、トラックに反応しながらフェーダーを動かします。


この時、あなたは考え過ぎずに、一本一本の木ではなく全体像となる森を見ているので、各トラックのバランスが取れるのです。



そして、私たちが下す最も重要な決断は、各トラックおよびトラック間の相対的な音量です。


ベースをどこに配置するか、ボーカルの音量はどれくらいか、スネアドラムはどれくらい大きいか小さいか…


こういったことが、後にEQやコンプレッサーをどれぐらい掛けるかを決めるのです。



音量はいかなるプラグインをも持ち込む前に、ミックス作業における最大の武器です。


リスナーの目線に立って、音量が大きすぎるかな?小さすぎるかな?と立ち止まって考えましょう。


いきなり作業の核心に飛び込んでいくよりも、まずは大局を見るのです。



素早くすべき理由②

感覚を失い始めるから


2:50 ~


ミックスを素早くこなした方が良い2つ目の理由は、長く時間をかければかけるほど、余計なことを考え始め、(適切な)感覚を失い始めるのです。


聴き始めて数秒後には、耳が音に慣れ始めてしまうので、どんどん耳を信用することが出来なくなりますし、特定の方向性に慣れてしまいます。こうしてその楽曲がどのように聴こえるべきだったのかを忘れていく…これが落とし穴なのです。



多くの場合、楽曲に対するあなたの第一印象こそが本物です。一時間もいじっていれば、あなたは良くない決断を下すことになります。


そのトラックを初めて聴いた時に浮かんできた考えこそが正しいもの。その第一印象を失う前に、本能に従い、反応しなければいけないのです。



アンディやこの動画のグラハム氏のようなプロの方がハッキリとこう言うのですから、宅録 / ベッドルームプロデューサーにとってはまさに金言ではないでしょうか?


次回以降、アンディのインタビュー続編へと続きます!


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