ダグ・アルドリッチ (The Dead Daisies) #3 Dio&Whitesnake の一件 / メタルゴッドとの初対面


お届けしてきた現The Dead Daisies・元Dio / Whitesnake のギタリスト、ダグ・アルドリッチのインタビュー訳、今回が最終回!


今回のテーマは、「ロニーを怒らせたあの件」「天才?レブ・ビーチ」「メタルゴッド参上!」です。



I: インタビュアー

D: ダグ


DIo⇒Whitesnake の真相は?


26:45 


D: ロニーとのツアーがひと段落して、僕はデヴィッドとWhitesnakeのツアーに出たんだけど、僕らはすぐにピタッと息が合ったんだ。


言うなれば、ロニーは僕にとって「大切な親友」、デヴィッドは「家族」のような存在だった。



結果的に、(最初のツアーでの感触から)僕とデヴィッドはここからどんどん本格的に活動していくようになった。


僕は別に、ロニーのバンドにとどまりながらより良い仕事を探してやろう、なんて思ってなかったよ。一部の人達にはそう映ったかもしれないけどね。


僕はロニーのバンドにいるつもりだったけど、実際の物事は違う方向に進んだってことさ。



正直に話すけど、二ヵ月間Whitesnake のツアーをやった後、デヴィッドは「このメンバーは素晴らしい。私はこのメンバーで活動を続けたい」と言ってきた。


確かに、僕らのツアーは最高だったからね。


この頃、Whitesnakeのツアーがオフの時にはロニーとデモを作っていたから、彼とまたレコーディングに入るのはわかってたとはいえ、先々の詳しいスケジュールまでは聞いていなかった。


で、ある日ロニーの家を訪ねると、「レコーディングもやるつもりだが、ちょっと中断してIron Maiden とのツアーに出ようと思っている」と言われた。



でも、その段階で僕は既にWhitesnake とのスケジュールが入っていて、僕はWhitesnake のツアーをやりながらロニーとの曲作りを進めていくつもりだったんだ。


ロニーはこの件で激怒してしまい、僕に背中を向けて「出て行け!」と。


(*んー、これはロニーが怒るのも無理ないような…汗)


僕はこの件に関してすごく申し訳なく思ったんだけど、それと同時に、これはもう僕が決めることではなくなってしまった。


ロニーは僕に対してすごく腹を立てていたからね。



でも、最終的に僕らは仲直りをし、2005年にはロニーが再度ツアーへの参加をオファーしてくれたから、僕らはまた一緒にステージに立った。


ちょうどこの頃、「キミがロニーのバンドに戻って活動するという話を聞いてるんだが?」とデヴィッドが僕に訊いてきたんだ。


僕は正直に彼に伝えたよ、「デヴィッド、僕らはWhitesnake の新曲を作り始めるべきだよ」って。


今のシーンとは状況が違って、あの頃はツアーに出て行った時に新曲が必要だと感じたからね。



なので、僕はデヴィッドとWhitesnakeの作品を作った後、2009年にはまたロニーのところに戻るつもりだった。


(*私、これは初耳でした…あと、これはあくまでもダグ側から見た話ですから)


すまない、話し過ぎたね…


キミが意図した質問、「”Killing The Dragon” アルバムがロニー復活のきっかけになったのでは?」に答えると…


あの頃のロニーは、少しDioの原点のスタイルに立ち返ろうとしていたよ。



それはタイミング的にも良かったんだ。90年代の奇妙なシーンを抜けた後、ちょうどクラシックなハードロックやメタルが再度求められ始めた頃だったしね。


Alice In Chains とかSound Garden みたいに素晴らしいバンドも登場したけど、それでも90年代はよくわからないシーンだったよな。


とにかく、僕らはそういう方向性であのアルバムを作り、ScorpionsやDeep Purpleとのツアーも素晴らしかった。


何よりもあのタイミングが大きなカギだったと思う。ラッキーだったよ。



レブ・ビーチとのコンビ


32:40 


I: Whitesnakeでのあなたとレブ・ビーチのコンビは最高でしたよ。


私はJudas priest の大ファンなんですが、あなた方がJudas と一緒にツアーを周った時にライブを拝見して、あの夜に関してはWhitesnake の方が勝っていたと思いましたよ(笑)



D: それはありがとう。


レブはとんでもないプレイヤーだよ。あれは「天から授かった才能」とでも言うのかな?彼はギターをそんなに練習する必要がないんだ。


ただケースからギターを取り出して弾き始めたら、もう思うがままの音、みたいな感じさ。自然とそれが出来るプレイヤーなんだよ。



彼とギターコンビを組み始めた当初は、常に彼としっかり意思疎通が出来ている状態でいたいと思っていたんだけど、後々それは必要ないとわかったんだ。


僕が僕のスタイルでプレイし、彼が彼のプレイを心がけると、自然と最高の形にまとまるんだ。



メタルゴッド見参!


34:05 



D: プリーストと言えば、ロブ・ハルフォードと最初に出会った時の忘れられない思い出があるんだ。


アレはブラジルでの公演だったと思うけど、僕は会場裏のツアートラックが並ぶエリアでタバコを吸っていたんだ。当時はまだタバコを吸っていてね。


もちろん、デヴィッドを煙たがらせるわけにはいかないし、トミー(・アルドリッジ)はタバコの臭いにとても敏感なんだ。



だから、機材車やツアーバスに囲まれながらタバコを吸っていたんだけど、そこに数台のリムジンが到着した。


そう、それがプリーストのメンバーを乗せた車だったんだ。


僕は「最悪だ、ツアー初日にこんな状況でプリーストのメンバーに会うなんて…」と思い、思わず体をかがめて隠れながらタバコを吸い続けたんだ。



すると、思っていたのと反対側からロブ(・ハルフォード)が回り込んできて、「Hey!」って感じで挨拶してくれたんだ。


実は彼も喫煙者で、僕らは期せずして一緒にタバコを吸うことになったんだけど、僕の「うわっ!ロブ・ハルフォードだ…」って圧倒されてる感じを出さないように心がけたよ(笑)


「彼こそがプリースト」さ。


いまだにあのツアーで彼が連呼していた、”The Priest is back!!” ってセリフ大好きなんだ。


ヘヴィなリフをバックに、彼がノシッ、ノシッ、とステージを歩き回るやつ、キミも覚えてるだろ?



あれ、なんであんな動きになるか知ってるかい?


彼が着ていたあのトゲトゲがいっぱい付いたコート、あれ200パウンド(約90kg)あるんだぜ?


あんなもん着てたら走り回れないのは当然さ。


あれは「さすがメタルゴッド!」ってとこだよ。



I: 当時、あの歩き方を見た人達が「きっと背中に痛みを抱えてるに違いない」とか色々言っていたのを覚えていますよ。


D: 笑。


バックステージにはたくさん彼のコートがかかっていたけど、ちゃんとそれ専用のスタンドがあるんだ。


普通のクローゼットハンガーなんかじゃポキッといっちゃうのさ。


終/