初期のAlice Cooper Bandを始め、Lou Reedや70~80年代に様々なアーティストのレコーディングに参加していたギタリスト、スティーヴ・ハンター。
彼が現Alice Cooper Band のギタリスト、ライアン・ロキシーのトーク番組に出演し、「知ってる人は知ってた」あの件について語りました!
R: ライアン
S: スティーヴ
NYの有名スタジオにて
R: 「ギタリスト達の間で最もよく話されてきた都市伝説」についてお訊きしたいのですが、”Train Kept A Rollin’” (Aerosmith の2nd”Get Your Wings” 収録)についてです。
これはNYの(有名)スタジオ、Record Plant での出来事ということで良いんですよね?
S: ああ、そうだ。
R: (エアロのプロデューサー)ジャック・ダグラスと言えば、彼も偉大なプロデューサーで、僕もSlash’s Snakepit のレコーディングで彼と仕事をしたことがあります。
当時、Record Plant ではエアロが ”Get Your Wings” を制作していて、ジャックが指揮を執っていたと。
そして、同じスタジオ内の別の部屋であなたは他のアーティストのレコーディングに参加していたわけですよね?そこで何が起きたか話して頂けますか?
S: 当時、ジャック・ダグラスはあのスタジオで、エアロのアルバムをレイ・コルコードと一緒に共同プロデュースしてたんだ。
レイはキーボードプレイヤーでもあって、Lou Reed のツアーにも帯同し、彼のプレイはライブアルバム ”Rock N’ Roll Animal” アルバムに収録されているよ。
R: なるほど、そこで(ルーのギタリストだった)あなたとエアロとの接点が出来た訳ですね?
S: 確かにそうでもあるんだけど、当時僕は既にジャックと仲が良かったからね。僕らはよく一緒に仕事をして、みんな仲間みたいな感じだったのさ。
ロビーでの休憩中…
1:40
S: 僕はあの日、スタジオAでギターのオーバーダブをやるはずだったんだけど、当時はアナログテープを使って録っていたから、編集では実際にテープを切り貼りしていたんだ。
アレはすごく集中力を要する大変な作業だから、僕は邪魔しないようにスタジオから出ておいたた方が良いと思って、ロビーでタバコを吸ってたんだ。
すると、そのロビーの反対側にある少し小さめのスタジオBのドアが開いて、ジャックが顔を出し、「こっちに来てちょっとギター弾いてくれない?」と。
僕はじっと座ってるより弾いてる方が良いと思い、快諾したんだ。
スタジオAに戻ってその話をしたら許可が下り、当時あのスタジオが所有していたTwin Tweed アンプを持ってジャックの所に向かった。
あのアンプは、僕が今までプレイした中で最もゴージャスな音が出るアンプだったよ。
部屋に入るとエアロのメンバー全員がそこに立っていて、僕は皆に挨拶をした。彼らは皆ナイスガイだったよ。
知らない曲&流れで弾いてみて
3:30
R: あなたはそれ以前にエアロに会ったことは会ったのですか?
S: いや、この時が初対面だった。
R: じゃあ、彼らはまだキャリア初期の作品を制作しているバンドに過ぎず、そこにいきなりあなたが現れて「やぁ、ここからは僕が引き受けるよ!」みたいな感じだったんですか?(笑)
S: いやいや、この時点で僕は、ジャックが何の目的で僕を呼んだのか全然わからなかったんだ。バッキングを弾いて欲しいのか、それともソロを弾いて欲しいのか。
で、セッティングが済んで彼に訊いてみると、「とりあえず流す曲に合わせて通しで弾いてみてくれ」と。
セッションの仕事を受けた時、僕はいつもそうやってウォームアップをするから、それは別に構わなかった。
「あの曲」自体よく知らなかったし、ましてや彼らがやろうとしていたアレンジがどういったものかもね。
R: 一応皆のために言っておくけど、今僕らが話している「曲」とは、あの悪名高き”Train Kept A Rollin” で、元々は古いブルースソングだ。
S: 弾く前に一度聴かせてもらったらすごい良い曲で、ジャックとエアロがやったアレンジもすごくクールだと思ったよ。
ありがとう、助かったよ!
4:45
で、僕は早速ヘッドフォンを付けて、一回目はアホみたいに弾きまくったんだ。
弾き終わるとジャックが「素晴らしい。ただ、ボーカルパートに被っちゃってるんだ」と言うから、「僕が聴いてる音にはボーカルが入ってないんだけど」と伝えると、彼はボーカルパートをオンにして、もう一度流してくれた。
この段階でも僕は、ウォームアップのつもりで弾いてたんだけど、弾き終わったらジャックが「素晴らしいプレイだった!ありがとう、助かったよ」って言うんだ。
僕は「おいおい、待て待て!!『ありがとう』ってどういうことだよ!?」って(笑)
R: 笑
S: 「今のはウォームアップのつもりだぞ!」って言うと、彼は「いいや、今キミが弾いたのが正解だ。もうあれで終わりさ」だって(笑)
R: 時に物事が上手く行く時ってそういうものですよね。
プレイヤーにとってのベストワークって、考える間もなく無心で弾いたらそうなっちゃった、みたいな。
では、あなたはあの ”Train~” で聴けるプレイを何も考えずにやったと?
S: あぁ、全くだ。でも、ソロを弾く上ではそれが最善の方法だと思う。
頭で考えず、感じるままに弾くことさ。
R: 私達がずっと聴いてきたあの曲ですが、あなたが弾いたソロは最初のソロですか?それとも曲のあちこちで聴こえてくるギターですか?
S: あの曲は二部構成になっていて、前半はスタジオバージョン(テンポが遅い箇所)で、中間に観客の音声が重ねてあり、そこから「疑似ライブパート」に突入するんだ。
僕が弾いたのは前半のソロ、後半の疑似ライブパートを弾いたのが*ディック・ワグナーだ。僕ら二人共があの曲でプレイしていたんだよ。
終/
*ディック・ワグナー
Lou Reed時代からスティーヴ・ハンターと長年ギターコンビを組み、アリス・クーパーソロ転向後の活動を大きく支えたギタリスト。
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