デズモンド・チャイルド #6 / 名曲 Dude & Angel 誕生!


80年代に BonJovi, KISS, Alice Cooper 等と共作し、ヒットを連発したソングライター、デズモンド・チャイルド。


彼のロングインタビューの訳をご紹介するシリーズ、遂に6回目にして最終回!!(長かった!!・笑)



お付き合い頂いた皆様、厚く御礼申し上げます!m(__)m


今回のテーマは、「続・Aerosmith "Dude" の制作」と 「"Angel" 作曲のきっかけ」です!


インタビュアーはマイク・ブランさん。



I: インタビュアー

D: デズモンド



続・"Dude" の制作


59:30


*デズモンドがスティーヴンの提示した歌詞に対して「全然良くない」と言った後)


するとスティーヴンは、「実は、最初に歌い始めた時の歌詞は ”Dude looks like a lady” だったんだ」と。



その時の僕ときたら、完全にフリーズして、


「今なんて言った? Dude Looks Like A Lady …これはスマッシュヒット間違いなしのタイトルだぞ!」と。


するとジョーは(疑いの眼差しで・笑)「でも、そんな(『野郎が女に見えた』なんて)タイトルじゃわけがわからないだろ」と言うから、「僕には見えてる。信じて付いてこい」と答えたよ。



この時、僕はスティーヴンに「どこからDude looks like a ladyなんて言葉が出てきたんだ?」と訊いたら、(有名な)「バーの話」をし始めたんだ。



まさにタイトル通り


1:00:05 ~


彼らはある夜、バンドのクルー達とあるバーに行ったんだけど、そこには彼ら以外ほとんど客がいなかった。


ところがそこに、ブロンドヘアで黒のマニキュア、タンクトップから見える肌もきれいで、後ろ姿の美しい人が立っていた。



それを見た連中は、「誰が一番最初に声をかける?」って話になったらしい(笑)


と、その時。


その女性がこちらを振り返り、顔を見てみると Motley Crue のヴィンス・ニールだった、と。



それを見たスティーヴンは「Ooh, that dude looks like a lady!」と叫んだらしい(笑)


僕はそのエピソードを聞いて「よし、じゃあ、それを歌詞の土台にしようじゃないか」と思ったんだ。




この "Dude" 誕生のエピソード、私が聞いていたのは、当時モトリーの連中がとにかく "Dude!" という言葉をいつも使っていて、それを気に入ったスティーヴンが歌にした、的な話でした。


デズモンドの話が本当ならば、スティーヴンが最初に意図した Dude はヴィンスだった、ということですか!



時代の先駆け


1:02:00


*実際の歌詞は、ある男がバーで声をかけたきれいな子と良い感じになって行為に及ぼうとしたところ、途中で相手が男性だと発覚。


でも、男はその子が美しい身体をしていたので、状況を受け入れてしまう、というストーリー。



D: (近年のLGBTに関する動きを考えると)僕らはかなり時代に先行してたことになるね。


一部の勘違いした連中が、「あの曲は反LGBT的だ」と僕に言ってくることがあるんだけど、とんでもない。


実際の意味は真逆だし、僕自身はゲイ中のゲイなんだから。


(*デズモンドは同性結婚もして、子供も二人います)



I: あの歌詞自体はあなたが書いたのですか、それともスティーヴンが?


D: 僕ら一緒に書いたんだ、意見を交換しながらね。


あれが曲として形になった時、レコード会社の人間は一発で気に入ってたよ。



結果、あの曲が次のアルバム "Permanent Vacation" からのファーストシングルになったんだ。


"Angel" のアイデア


1:03:08


D: ある日、僕が例の倉庫のようなリハーサルスタジオに行くと、スタッフ達もまだ来ていなくて、そこにいたのは僕とスティーヴンだけだった。


僕らはステージに向かい合って置かれたベンチに座り、スティーヴンに「キミのこれまでの人生について教えてくれよ」と言った。



そこからの彼の話は、まるでせき止められていた水が一気に流れ出るような感じだった。


彼は自らの経験を共有するのが好きだし…もしかすると、話し過ぎてたのかもしれないけど、でも彼のことならいくらでも知りたいと思うじゃないか。


彼は辛かったリハビリのことや、その頃出会って後に結婚することになるテレサ・バリックのことも話してくれた。



スティーヴンは、「彼女は僕にとってのエンジェルなんだ」と。


この時、彼が Angel と発音した時のサウンドや「あの唇の動き」から、僕はミック・ジャガーが "Angie" と歌っているのを思い浮かべてしまった。


そこで僕はピンときて、「わぉ、これは曲になるぞ!」と閃いた。



こうして僕らは、スティーヴンが100万回ぐらい 「エィ~ンジェ~ル」と繰り返すあの曲を書きあげたのさ。


終/