デズモンド・チャイルド #5 / Aerosmith との出会い & Dudeの制作


BonJovi, KISS, Alice Cooper 等と共作し、80年代にヒットを連発したソングライター、デズモンド・チャイルド。



彼のロングインタビューからKISS, BonJovi の箇所をお届けしてきましたが、今回・次回はエアロ編です!


まず今回は、「Aerosmith との出会い」から、80年代復活の決定打となった 「"Dude (Looks Like A Lady)"」の制作についてです。


インタビュアーはマイク・ブランさん。



I: インタビュアー

D: デズモンド



共作は復活へのカギ⁉


51:35 


I: 確か、当初Aerosmith との仕事は、BonJovi や KISS のようにスムーズではなかったんですよね?


彼らと仕事をし始めたきっかけや、その関係性はどう変化してあんなビッグヒットに結びついたのでしょう?



D: 当時、シェールを手掛けていた(敏腕A&Rでエアロスミス復活には欠かせなかった)ジョン・カロドナーを通じてだね。


(*シェールの話があまりにも長いので一部割愛・笑)


僕が彼らと最初に会ったのは “Done With Mirrors” の後の頃だった。


あの作品はセールスも伸びなかったけど、それと同時に、あの頃の彼らはまだ依存症からのリハビリの途中だったから、バンドとして機能させること自体も簡単ではなかった。



そこで、当時他のアーティスト達と上手くヒットを出し始めていた僕に白羽の矢が立ったということさ。


あの段階で、恐らく彼らはバンドメンバー以外との共作をほとんどやったことがなかったんじゃないかな、もしかするとプロデューサーでさえも。



ギターとアンプの山!


56:45


僕がボストンを訪ねると、空港までリムジンが迎えに来てくれて、そのまま巨大な倉庫みたいなリハーサルスタジオに連れていかれたよ。


中に入ると、まるで映画のワンシーンみたいに、100本ものギターがズラッと並んでいた。


もう、ありとあらゆる形・色のギターさ。これは誇張でも何でもなく、本当にとんでもない数のギターが何列にも渡って並べてあった。



その隣にはステージが組まれていて、彼らはそこでツアーのリハをやっていた。


そちらにはマーシャルやらアンプの山があって、そこにポツンと置かれたあのカリスマ性のあるマイクスタンド…


I: あのスカーフや布が括り付けられたマイクですね。



(映画のように)巨大なドアを開けて、差し込む外の光と共に小さな僕が中に入ると、スティーヴンが来て僕に挨拶してくれた。


彼は本当に優しくて、いつも人を喜ばせるタイプだったね。僕にもすごく良くしてくれたよ。


一方でジョーは、僕がそこにいることをあまり良く思ってなかったと思う。


(*ジョーは基本、初期のように5人だけで作曲をやりたい人なので)


切れ味抜群…


58:09


スティーヴンは(いつもの感じで)「こっちに来てちょっとこれを聴いてみてくれよ」と言ってきた。



彼らは録音したギターの音を逆再生し、それを曲にしようとしていて、僕の耳にはブギーっぽく聴こえたんだ。("Dude" のイントロのイメージ?)


するとスティーヴンがそれに合わせて(Dudeのメロディで) “Cruising for the ladies” と一節を歌った後、僕の方をじっと見て「これ、どう思う?」と。


僕は「全然良くないと思う」と言ったよ。


I: 笑



D: スティーヴンはその言葉を聞くと、腕組みをして僕をいぶかしげに見てきたよ。


これ、その時実際に彼に言ったのか、それとも僕が心の中でそう思っただけだったかはよく覚えていないんだけど、


「ヴァン・ヘイレンなら、

B面曲集にすら入れないだろう」



それぐらい良くなかった。


“Cruising for the ladies” (=女の子を探して車で街をうろつく)なんてさ。


ピンクのキャデラックに乗って、女の子に声をかけながら Sunset Strip を端から端まで、なんてのが伝えたいことか?


(↓またそういう映像を探した時に出てくるのがモトリーの凄いところ…笑)


そりゃあ Motley Crue の仕事だろ? エアロがやるべきことじゃない。


全然クールじゃないよ、と感じたんだ。


(*これ、決して「モトリーがクールじゃない」という意味ではなく、「エアロが真似ること」がクールじゃないという意味です)


続く…