ハワード・ブレイク (映画音楽/Queen) #1 伝説のFlash Gordon


「面白い人にインタビューするなぁ」と最近個人的に注目しているのが、本日取り上げるダニエル・サーキシアンさん。


今回は、あの!伝説の映画 ”Flash Gordon” でオーケストラのスコアを担当し、フレディ・マーキュリーと共作もしたハワード・ブレイクさん。



(*ちなみに、私はあの映画を見たことはありませんが、このインタビューはかなり笑えました!)


当時だからこそ!?のとんでもエピソードがたっぷり語られています。



I: インタビュアー

H: ハワード


なんて日だ!


0:01


I: あの映画「フラッシュ・ゴードン」での Queen とのコラボはどのようにして生まれたのですか?



H: ある日、僕のところに映画音楽を手掛けるスタジオから電話がかかってきてね。


電話の相手は、今ではハリウッドでトップ・エンジニアとなったジョン・リチャードだった。


J:「今忙しいか?」


H:「いや、今はそこまでだけど?」


J:「今、スタジオに大勢の人が集まってて、僕らは大問題を抱えて困ってるんだ」


H: 「問題ってどんな?」


J: 「実は今Queen とスタジオに入っていて、70億円という巨額の制作費がつぎ込まれてる映画『フラッシュ・ゴードン』のために曲を書くことになっているんだ。



スタジオには作品の監督ディノ・デ・ラウレンティスや制作会社のトップもいるんだけど、キミにぜひ来て欲しくて」


H: 「何のためにだよ!?」


J: 「まぁ、来てもらえればわかるさ」


それを聞いた時には「なんて日だ!」と思ったよ(笑)



英国ロイヤルフィルハーモニー


2:00


H: 僕がスタジオに到着してみると、連中は皆そこに立っていて、ブース内にはロイヤル・フィルハーモニー・オーケストラが何もせずに座っていた。



監督のディノは、僕に会うなりいきなり(モノマネしながら・笑)「この映画は70億円もかかっているんだ!」って。


僕は「ほぉ、それで?」って返したら(笑)、「まだ音楽が一曲たりとも完成していないんだ!」と。



彼が言うには、Queen に曲を依頼したところバンド側からもOKがあり、それでロイヤル・フィルハーモニーのスケジュールを二週間押さえたんだ、という話だった。


もちろん、そんなことするにはめちゃくちゃ高くつくわけだけど、曲がないから彼らはただスタジオで座ってるだけだった(笑)


あの頃、Queen には制作面でのアシスタントがいてアレンジとかを手伝ってたんだけど、その彼が「自分に出来る」と言ったらしいんだ。



ところが、彼には全く手に負えないと分かった。当然さ、フル・オーケストラの曲だからね。


彼はその場でオーケストラの連中に「こんな感じで!」と伝えて、何とか一分半ぐらいの断片は作ったらしいんだけど、そんなものが良い曲なわけがない(笑)


で、ジョンが僕に何とかして欲しくて連絡してきたんだけど、これが起きたのが木曜日の午後3時。


この時、監督のディノは僕に向かって「月曜日までに全曲書きあげてくれるか?」と訊いてきたんだ(笑)



僕は「もしチャイコフスキーとベートーヴェン、ガーシュウィンを起用出来て、全員でフルに働いたら月曜日までに何とかなるよ」って答えたよ(笑)


H/I: 笑


H: だってさ、2時間の映画作品一本分の音楽をだよ!?


最終的に僕は「ゼロから作っていって完成させるなら、最低でも4週間は欲しい」と提示したんだけど、監督のディノは「キミはこの延長が僕にとってどれだけの金銭的な負担になるかわかってないだろ」って。



そりゃあ僕は知ったこっちゃないよ!彼の問題だもの!(笑)


まぁ、話を手短にすると、とりあえず僕はその作品を手掛けることに同意し、三週間の制作期間を確保した。


言っておくけど、この段階で彼らは、どの場面でどれぐらいの長さの曲が必要なのかすら測っていなかったんだ。


なので、僕の担当が決まってから、いの一番にそれをチームにやらせたよ。



あとディノが「じゃあ、ロイヤル・フィルハーモニーはどうすれば?」と聞くから、「お帰り頂くしかないね」と…(笑)結局、給料を支払って契約解除したよ。


続く…