フィルX (BonJovi) #1 / オレ、BonJovi のギタリストなんだ…


BonJovi のギタリストとして活躍する一方で、YouTubeでも信じられないほどすごいプレイを数多く投稿してくれている Phil X。


今回のコロナの影響によって出来た時間を有意義に使い、Phil X & The Drills 名義で新曲もリリースしました。



そんな彼の最新インタビュー要訳をお届けします!


訊き手はお馴染みカナダのHR/HM系DJ、ミッチ・ラフォンです。


M: ミッチ・ラフォン

P: フィル


オレ、ロックスター!


1:25


(*カナダ・モントリオールにある会場の話から)


P: 前回オレがモントリオールに行ったのは、BonJovi のツアーのベル・センター公演で、その日のホテルは、とあるバーの道を挟んだ向かいだった。



この時、オレの友人がトロントからわざわざ会いに来てくれたんだけど(フィルはカナダ出身)、ホテルのバーはもう営業が終わっていてね。


でも、せっかく友人が会いに来てくれたんだから、オレは一緒に飲みたかった。


そこで、そのホテルの向かいのバーに向かったんだけど、表には行列が出来てたんだ。



オレ達がまずそのバーのバウンサー(表に立ってIDチェックとかを担当するスタッフ)の所に行くと、彼から「そのジャケット、ブーツじゃ入店はお断りです」と言われた。


普段、オレは自分がこういう知名度のある仕事をしていることを自分から言ったりしないけど、この時はその友人とどうしても飲みたかったから、「実はオレ、BonJovi のギタリストで、今晩ベル・センターでコンサートを終えてきたところなんだ」と話した。



すると彼は、「証明してみろよ」と(笑)


(*多分、バウンサーも頻繁に自称有名人をたくさん相手にしているので、これは仕方ない・笑)


当然、オレのスマホにはジョンと写った写真が山のようにあるから、それを彼に見せてどんどんスクロールしていったんだ(笑)



すると彼は、「これは失礼しました、どうぞお入りください!こちら、私の名刺です。次モントリオールにお越しの際はぜひご連絡ください!」だって(笑)


時にはこうして、自分が有名人であることを明かさなきゃいけないんだよ。


M: それは当然の権利なんだから、使わなきゃ!



レコーディングの方法


8:40 


P: これまでにもあらゆるアーティストのレコーディングに参加してきたけど、オレが一番好きなスタイルは、せーの!でテープを回すやつだ。


プレイのコピペが出来るPro Tools でのレコーディングとは違って、テープを回してレコーディングする時は、その緊張感がさらに一段上がるんだ。



もちろん、そういう場では自分が録り直しの原因にはなりたくないわけで、多分そういう緊張感は音にも出ると思う。


でも、オレはその緊張感こそが大好きなんだ。



プロデューサー次第


9:25


M: そういった(プレイの)偶発性や失敗に対する恐怖みたいなものって、今や失われてしまったよね。



例えば、最近のレコーディングでは、曲のカギになるような部分10秒だけを実際に弾いて、あとはそれが編集の力で6分の曲になったりさ。


僕なんかは「おいおい、ちゃんと一曲分弾けよ!」って思うんだけど。


P: そういうやり方って、プロデューサーやエンジニアによって全然違うんだよな。



一部のプロデューサーは、キミが言ったように、サビの部分だけを僕にプレイさせて、それをコピペしていく。アッという間さ。


僕は僕で仕事が早く済むから、それでもかまわない。


もう一方のタイプは、僕がペリー・ファレル(Jane’s Addiction)のソロアルバムで一緒に仕事をしたトニー・ヴィスコンティのようなタイプだ。



彼のやり方は真逆で、僕に全部弾かせるんだ。


しかも、ギターのチューニングすらそこまで正確にやらない。


例えば、オーヴァーダブで右Chのギターのチューニングが多少ズレていてもそのまま残すんだ、完璧じゃないものをね。



でも、そこにはちゃんとエネルギーがあるんだよ、あまりに音が変にズレていない限りね。


僕にとってそれは、その時のエネルギーを捕らえる素晴らしいやり方だよ。


続く…



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