マイク・プロトニコフ / エアロ・KISS・Van Halen のエンジニア


今回ご紹介するのは、海外のミュージシャン・レコーディングのプロに様々なインタビューをしているチャンネル “Produce Like A Pro” さん。


普段あまり表に出てこられない名盤のプロデューサーやエンジニアのインタビューが多いのも特徴です。



先日公開されたのが、エアロスミスやヴァン・ヘイレンのエンジニアを務めた Mike Plotnikoff / マイク・プロトニコフさんへのインタビュー。


ハードロックファンの間では有名なプロデューサー、ブルース・フェアバーンの下で働いた方です。


I: インタビュアー

M: マイク


ド緊張のジョー・ペリーとの作業


1:23 ~


M: 僕がエンジニアとして最初に関わったビッグネームのアルバムが、エアロスミスの “Get A Grip” だった。ミックスはブレンダン・オブライエンでね。



I: やってみてどうだった?


M: 素晴らしかったよ。僕はアシスタント・エンジニアではなく、エンジニアとしてやりたかったんだけどね。


エアロとのレコーディング初日、スタジオのエンジニア席に座ってジョー・ペリーとギターのレコーディングに挑んだことを今でも覚えてるよ。



2人で良いセッティングを見つけようと作業してたんだけど、僕は心臓がバクバクだった。息をしていたのかすら怪しい(笑)


その時点で僕はアシスタント・エンジニアとして4年の経験を積んでいたんだけど、この時は僕とブルース・フェアバーン、そしてバンドのみ。


で、ジョーのギターをレコーディング中、コンプレッサーか何かを調整してた時に意図せずにすごい歪みが掛かったんだ、メーターも全部振り切れちゃって。



何が起きてるのかさっぱりわからなくて平静を装ったんだけど、ジョーが「おい、今のめちゃくちゃかっこいいじゃないか!おまえ、良い仕事するな」って(笑)


焦ったけど、なんとかその場をやり過ごすことが出来て、この経験から「スタジオで何が起きても、流れに任せてみよう」と学んだんだよ。



激務だった AC/DC のライブ盤


2:35 ~


I: あの頃のブルース・フェアバーンってすごかったんだろ?


M: あぁ、すごく良い仕事をしていたよね。僕が初めて彼と仕事を共にしたのが、AC/DCの “Live at Donington” だった。



バンド側からは2インチテープが200本ほど送られてきて、全部をチェックして一本に編集するだけで一か月かかったんじゃないかな。


そこからバンドがスタジオにやって来て…


「ライブアルバム」と言っても、当時はスタジオで色々な修正や録り直しがあったんだ。


アンガス(・ヤング)のギターソロなんかは全てオリジナルのままだったけど、ボーカルやバッキングのギターとか、チューニングがずれてたものなんかは使えないから、結局ライブアルバムを仕上げるのに三ヶ月はスタジオで作業したんじゃないかな。



その後も、ブルースのアシスタントを他のレコードでやったんだけど、エアロの”Get A Grip” をやった後に、彼は僕が正式なエンジニアになれると思ってくれたみたいでね。


それ以降、クランベリーズやヴァン・ヘイレンの “Balance”、KISSの “Psycho Circus”、スコーピオンズの “Face The Heat”のエンジニアを担当したんだ。



モトリーのサウンドをコピー?


7:55 ~


M: 僕はあの頃ボブ・ロックのファンで、特にモトリーの “Dr,Feelgood” のサウンドが大好きだった。彼はまさに神様みたいな存在だったんだ。


彼のプロデュースした作品の音があまりにも素晴らしかったから、僕はある時ボブが使った後のスタジオで、彼のマイクの設定やら機材のセッティングを全てメモして、自分の仕事で再現しようと試みたんだ。



で、実際にやってみると当然彼のサウンドとは全く違った!ほんとに酷いサウンドだったよ(笑)


終/


Me and Songs

音楽と人にまつわるストーリー people's stories about music & songs.