トニー・フランクリン #2 / The Firm が目指したものとは?


「フレットレス・ベース」の名手として知られるロック・ベーシスト、トニー・フランクリン。


ジミー・ペイジ、ポール・ロジャースと組んだスーパーグループ、The Firm 時代を振り返ったインタビューを要訳してお届けしています。



今回はバンドが目指したサウンド、"Radioactive" のベースフレーズ等について語った箇所をお届けします。


I: インタビュアー

T: トニー



その時出た音がThe Firm 


5:35 ~


I: ポールやジミーが具体的に「The Firmは、こういうサウンド・こういう方向性で行こう」と言及したことは?


T: いや、無いね。いつでもプレイして自然に出てきたサウンドが僕らの音だった。



あの頃、僕が使っていたベースもフレットレス一本のみ。今振り返ってみるとありえないよな。


今ならどんなレコーディングやライブでも必ず何本か持って行って、異なるチューニングやサウンドに対応するんだけど。



でもあの当時のオレはほんと直感で動いていたし、ジミーやポールも僕に対して何も言わなかったけど、それで上手く機能していたからね。



彼らがそれ以前に活動していた Led Zeppelin や Bad Company のベーシストも、時々フレットレスを使っていたから、僕のフレットレスのサウンドも彼らにとって全く馴染みがないものではなかったのさ。



radioactiveのベース


6:55 ~ 


I: “Radioactive” という曲のベースリフについて教えて欲しいんだ。あの当時、あれは非常に独特だったと思うんだけど。



T: あれは、まずドラムが入ってきて、アコギが鳴り始めて… その間にスペースがあったからそこに何か必要だったんだ。


で、ある段階でオレはあのベースリフを思いついたんだ、どうしてあの形になったのかは自分でもわからないんだけど。



どういうわけか、あのフレーズがあの部分にハマって、あの曲のシンボルみたいになっちゃったのさ。



メンバーそれぞれの思惑


9:07 ~


T: 当時のジミー、ポールにとっては、それぞれバッド・カンパニーとツェッペリンの後ということで、すごく注目が集まっていたよ。特にジミーはね。



なので、僕らは本能に従って、何かユニークでスペシャルなものを作りあげようという想いで溢れていた。



僕はまだ若さに満ち溢れ、ただただ良い仕事がしたい一心だったから、ことさらあれをキャリアの重要な一歩というようには考えていなかった。


単純に、あの当時の僕にとっては、あれが音楽だったんだ。


35年経過した今でも、あの経験を客観的に見ることは難しいのさ。ものの見方なんて変わっていくしね。



でも、どうやってあんなすごいことが、イギリス・ダービー出身の22歳の小僧に起きたのか…未だに現実とは思えないんだよ。


それが起きたと証明できる写真はあるにもかかわらずね(笑)


続く…