エリック・マーティン (Mr.Big) #1武道館のトイレ/ コッツェンのジョーク


今回のインタビュー訳は、Mr.Big やソロ、Avantasia の活動でも知られるエリック・マーティン!



ソロ公演が一息ついたのか、この数週間で何本ものインタビューをこなしており、聴くのがなかなか大変でした!


しかも、どう見てもお喋り好きなエリック… まぁ、話があちこちに飛びまくるのです(笑)


当然面白いネタがあちこちに出てくるので、とりあえず2回くらいに分けてご紹介できれば、と思います。



チャンネルは Guitar Wishes さん!


I: インタビュアー

E: エリック



ビリーとの仲直りのきっかけ


9:00 


E: Mr. Big は解散後、2009年に再結成することになるんだけど…


僕がまたビリー(・シーン)と連絡を取りたいなと思っていたところに、息子のディランがベースに興味を持ち始めてね。



で、息子のベースについてアドバイスを訊くついでに仲直り出来れば…と思ったんだ。


もちろん、僕はあのバンドのメンバーともう一度やりたいと心底思っていたしね。


この時僕がビリーに訊いたのは、(彼が契約している)ヤマハが左利き用のモデルを販売しているかどうか?ということだったんだけど、ビリーは「無さそうだけど、ちょっと調べてあげるよ」ってすぐに返信をくれてね。



僕はディランの誕生日プレゼントにベースをプレゼントしようと思っていたんだけど、それからしばらくビリーからは連絡が無くてね。


何度か「その後どう?元気?」みたいな程度のメールも僕からしたけれど、Mr.Big の話は全く出さなかった。


で、クリスマスシーズンになった頃、突然家に大きな箱が届き、開けてみると左利き用のベースが入っていた。


ビリーが質屋さんで見つけてくれたベースをメンテして送ってくれたんだ。あとビリーが講師の教則ビデオも一緒に入っていてさ。



クリスマスに自分の息子が音楽をプレイしているってだけでも鳥肌ものなのに、(元バンドメイトの)ビリーの声に従いながら息子がプレイしてるなんてね…。


こういったやり取りの後にMr.Big が再結成となったわけさ。


ちなみに、ディランはその後レッスンに通い、10歳か11歳の頃にステージに立ったんだ。


あれは父の日で、北カリフォルニアの僕のホームタウンだったな。彼はベースで “To Be With You” をベースでプレイしたんだ。



ちなみに、彼が一番最初に弾けるようになった曲はPink Floyd の ”Money” だった。


(*10歳にしては渋すぎません!?笑)



武道館トイレツアー


14:00 


E: Mr.Big再結成後ツアーがあり、僕らの武道館公演はソールドアウトになったんだけど、その公演を子供たちが観に来たんだ。


確かあの時ディランは13歳くらいだったかな。



僕らのサウンドチェックは大体2時間にも及ぶから、子供たちはその間に退屈し始めてね。


ディランとジェイコブはあちこち歩きまわったり、持っていたアメフトのボールを投げ合ったりし始めたんだ。


あの「伝説の武道館」でだよ!?


それを見たサウンドエンジニアか誰かが「はぁー…マジかよ…」みたいな感じで近寄って行って、「OK、坊やたち!何か他の遊びにしよう!この会場を探検してみたりはどう?」と言ったらしい。



するとジェイコブは、「パパ、僕ら好きなところに行っても良いの?」と訊くから「あぁ、構わないよ」って。


僕らにはトランシーバーを持った日本人のセキュリティが2人ついてくれてたからね。


するとジェイコブは「じゃあ、この会場の全部のトイレを見て回っても?」って訊くんだ(笑)



僕は「もちろんさ!これを持っていれば大丈夫だ」と言ってラミネートのパスを渡したよ。


で、結局彼らは武道館の中にある75か所のトイレをまわったらしい…(笑)



リッチー・コッツェン浮上の瞬間


20:40


E: ポール(・ギルバート)が脱退した頃、残りの僕らは「こんなデカい穴、僕らはどうやって埋めれば良いんだ…」って感じだった。



ある日、僕は地元サン・ラファエルで小規模のソロライブをやっていて、その日は2回公演みたいな形だったんだけど、ちょうど中盤ぐらいでボロボロの服と汚い髪の毛をしたホームレスみたいなヤツがフラッと入って来たんだ。


僕はそれに気づき、「OK、じゃあここで一度ブレイクにしよう。戻ってきたらまた6~7曲歌うからね!」と言ってバンドの方を見ると、彼らも「おい、大丈夫か?」みたいな雰囲気だった。



僕はとりあえず彼を外に連れ出し、お金を渡そうとポケットに手を突っ込んだんだけど、彼は何かブツブツ言いながらも「オレは別にキミのお金が欲しいわけじゃない」みたいなことを言ってるわけ。


で、ぼさぼさの髪の毛の中に垣間見えた青色の瞳を見て、僕は「おい、もしかしてコッツェンか!?」と言うと、付け歯とかつらを取って「なぜわかったんだよ!?」と…(笑)


彼とは昔からの知り合いだったけれど、この頃はまだ「コッツェン・ジョーク」に慣れていなかったからさ(笑)



I: 爆笑


E: その日彼も偶然近くでライブがあったらしく、そこから「久しぶりだな!」みたいに話が盛り上がった。


その時に僕の頭の中で電球がピカッと光ったんだ、そうだ!リッチーなら、と。


ポールがMr.Bigを辞めたことは彼も既に知っていて、「僕のソロアルバムでパットとビリーにプレイしてもらったことがある」と言うから、



思い切って「リッチー、Mr.Big への加入を考えてもらえないかな?」と彼に尋ねると、彼の様子ったらこんな困った感じで、多分POISONでの経験もよぎったんだろうと思う(笑)


そりゃそうだよな、また誰かの後任として別のバンドに入るだなんて。


その時彼は、昔からの憧れだったスタンリー・クラークと一緒にプロジェクトをやっていたから(VERTU)、これは尚更難しそうだなと僕も思ったんだけど、ひとまず彼は「考えさせてくれ」ということだった。



それから数週間後だったよ、僕らがリッチーの加入をお祝いしたのは。


続く…


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