リック・アレン (Def Leppard) #2 NirvanaとSlang / 英米ロックのルーツ


Def Leppard のリック・アレン、インタビュー訳後編!


前回は意外な?エディ・ヴァンヘイレンとの繋がりなども語られていましたが、今回の箇所でも、いくつかのテーマに対して「リック独自の視点」で語られており、非常に興味深く聴くことが出来ました。


今回のテーマは「NirvanaとSlang」「ブリティッシュ・インヴェイジョン」「スティーヴ・クラークの肖像画」についてです。



I: インタビュアー

R: リック


Nirvana / カート・コバーンについて


9:00 


R: (Nirvanaの登場は)僕が初めてSex Pistols を聴いた時の感覚と似ていたよ。


他のバンドとは全く違う個性があり、核心を突いていて、でもやりたい放題やっているという訳でもなく…


核心を突いた楽曲を作り、彼らはそのメッセージをリスナーにちゃんと伝えることが出来たんだ。


しかも、それが記憶に残りやすく、一緒に歌いたくなるものだった。そういう要素は、僕が70年代に経験したパンクを思い起こさせるんだよね。



そして、こういう流れの中で、僕らなりの反応を示したのが”Slang” というアルバムだった。


セールス的には決して成功とは言えなかったけれど、あのアルバムは「じっくり成長した作品」だったよ。


長い年月をかけて、多くの人があれを評価してくれるようになったし、一部のファンはあのアルバムがお気に入りだとまで言ってくれる。



あと、僕はあの作品のレコーディングも好きだったんだ。


音を被せ過ぎず、生々しいサウンドを重視して録っていったんだけど、あれは「いつもと違うDef Leppard の聴き方」という感じだった。


I: なるほど。


では、カート・コバーンやNirvanaが ”Slang” のような作品を作るインスピレーションになったということですか?



R: あぁ、間違いないよ。


僕が思うに、多くのバンドがあの当時のシーンにどう対処すべきか頭を抱えていたと思う。


彼らはリスナーの音楽的嗜好の急変にがっかりしていたからね。


でも、僕らの場合は、「逆にこの状況を利用して、僕らの基本に立ち返ろうぜ。僕らがバンドとして始まった頃のやり方に習ってさ」となった。


そうやって、ああいうより生々しいサウンドに辿り着いたんだ。



 アメリカ音楽からの影響


12:30


I: あなたはアメリカの音楽からも多分に影響を受けたと思いますが、その辺りについて語って頂けますか?


私(アクセントから恐らくアメリカ人)の場合、自分が若い頃に影響を受けたバンドというと、ほとんどがブリティッシュロックのバンドでした。


Deep Purple やLed Zeppelin など、その時代の多くのバンドです。


あなたの場合はどうでしょう?



R: もちろん、僕もそういったバンドには影響を受けたよ。


でもまぁ、結局全てはブルースから始まってるわけで、それはここアメリカが起点だった。


当時のブルース初期のミュージシャン達は、アメリカ国内だけでなくイギリスのアーティスト達にも影響を与えたと思う。



そういった音楽は大西洋を渡り、イギリスで彼らのフィルターを通って、独自の解釈が加えられ、そして形を変えてまた大西洋を渡りアメリカに帰ってきた。


こうして、アメリカとイギリスの間を音楽が絶え間なく行き来してきたんだと僕は思うんだ。


I: なるほど、私は今までそんな風に考えたことはありませんでした。


確かにLed Zeppelin なんかはブルースをベースにしていますが、明らかに独自の激しさを持っていますし、確かにアメリカはアメリカで独自の解釈をしていたんでしょうね。



R: あぁ、そうだと思うよ。


皆British Invasion という言葉を使って、「イギリスからのポップ・ロックミュージックがアメリカを席巻」みたいに言うけれど、実際のところ当時のアメリカに入って来ていたのは、「イギリスの解釈を加えたアメリカの音楽」だったと思うんだ。


I: なるほど、鋭い指摘だと思います。


スティーヴ・クラークの肖像画


21:55


I: あなたが描いたスティーヴ・クラークの肖像画は現在どこにあるのでしょうか?



R: オリジナルの作品は、多分モントリオールのジョアンナ&ジャックが所有していると思う。確か彼らが購入してくれたはずだ。


オリジナルの原画は長いこと売りに出ていないけど、複製画はまだ手に入るよ。


僕にとって好都合なのは、僕は自分のアート作品を購入してくれる人とは大体良い関係を続けているから、(個展や展示会など)何らかの理由で作品が必要になった時は、「ちょっとお邪魔しても良いかい?」って感じですぐに連絡を取れるということだね(笑)



I: それは素晴らしいですね!(笑)


先ほど、「スティーヴをアート作品として描くことはあなたにとって大きな意味があった」と仰ってましたが、曲はどうでしょう?


スティーヴとの結びつきを最も感じる曲はありますか?



R: んー、そうだね…。”Hysteria” かな。


あの曲に対する僕の理解は、「自分よりも大きな存在のとりこになる」という考えなんだ。


多くの人はあの歌詞を自分なりに解釈して、女性なり男性なり、誰かと恋に落ちる曲だと思っているみたいだけど、僕からすると、あれは「*何か自分自身よりも大きな存在に惚れ込んでいる」という概念なんだ。


(*この時、リックが目線を天にやってるんですよねぇ…。スティーヴを思い浮かべてるのかな?と思いました)



終/


ちなみに、これを機にリックの過去の作品も調べてみたんですが、もう普通に「アート作品として良い」んですよね(笑)


こちらの Wentworth Gallery さんで取り扱われているそうなので、興味ある方はぜひ!


Me and Songs

音楽と人にまつわるストーリー people's stories about music & songs.