今回のインタビューは、英国最大のロックフェス、ダウンロード・フェスティバルに関する特集の一環で行われ、過去の出演時の様々なエピソードが披露されています。
後半のテーマは「イギリスの野外と言えば…」「ステージ上の天敵」「イギリスのファンとの繋がり」です。
I: インタビュアー
J: ジョー
土壇場で決まった出演
5:20
(6/5~6にかけて Sky Arts チャンネルで過去のダウンロードフェスをフィーチャーした放送について)
I: 私達は2019年のDef Leppard のパフォーマンスから “Pour Some Sugar On Me” をピックアップしたのですが、この時の思い出は何かありますか?
J: 僕らにとって一番最近の出演だったわけだけど、あれは素晴らしかったよ。
ちょうどあの頃、僕らは大規模な”Hysteria” ツアーをやっていたんだ。
2018年の12月にUK ツアーをやったんだけど、その時にアンディ・コッピン(Live NationのUKツアー責任者)に「僕ら、この後ダウンロードとかに出ることになりそう?」と訊いたら、「うーん、わからないなぁ。キミ達はもうこのツアーであちこちのアリーナを周ったから、(半年後のダウンロード・フェスで)果たしてまた大きな需要があるかどうか…」と言われたんだ。
ところが、あのツアーの千秋楽前の公演で彼が楽屋に現れて、「気が変わった!Def Leppard で行こう!」と(笑)
なので、あの時は本番の6~7ヵ月前に出演の契約を交わしたんだ。(通常、ヘッドライナーの契約はもっと早いでしょうね…)
良い流れだと思ったんだよ。
あんな大きなツアーを完走した後、最後のどんちゃん騒ぎを翌年にとっておいて、そこで章が完結する、みたいなさ。
英国・野外イベントと言えば…
6:20
あの時一番覚えているのは…
(ダウンロードは野外なので)いつも前夜は「明日、カラッと晴れますように」と祈りながらベッドに入るんだけど、あの時も翌朝起きてホテルのカーテンを開けてみると「なんだよ~、降ってるじゃん…」って(笑)
I: ビックリだったでしょうね!(笑)
(*お二人ともイギリス人で自国の雨の多さをよく知っているが故のジョーク・笑)
J: しかもあの日は寒かったんだよなぁ。
別の年に出演した時は素晴らしい天気だったんだ。あれは確か…
I: 2009年ですね。
J: そうだ、あの時はすごく良い天気だった。2011年はあまり良くなくて、今話した2019年も良くなかった。
雨に濡れる「義務」
7:19
シンガーとして僕にとって非常に大きなことは、(ああいう状況で)オーディエンスやスタッフは皆ずぶ濡れになってると理解することだ。
なので、僕も同じようにステージの上で雨に濡れなきゃ、という責務を感じるんだ。皆と一体感を共有できるようにね。
そのためには、僕らはメインステージの屋根付きのスペースからランプ(ステージのせり出し)に出て行かなきゃいけない。
そこで問題なのが、あのランプにある傾斜だ。
例え「世界で一番良く出来たコンバース」を履いていてもあそこは滑るんだよ。
I: 笑
J: だから、歩幅を狭めて慎重に歩かざるを得ないんだけど、当然そんなのカッコよく見えないわけさ…(笑)
オーディエンスに近づくために恐る恐る歩いていって、戻る時もまたしかりだ。
僕が足を取られることが無かったのは幸いだったよ。
Hysteria再現の効果?
8:25
J: あの日(2019年)のパフォーマンス自体は、僕らの本質を表すような、ライブ感があってタイトな…まさに「ロックバンド、かくあるべき!」みたいな感じだった。
あと、あの日はオーディエンスのノリも良くて、多分僕らが過去に出演した中で一番素晴らしかったと思う。
ダウンロードのオーディエンスはいつも良いけど、あの時は特にそうだった。何かマジックがあったかのような…。
それはもしかすると、”Hysteria” アルバムを再現したからかもしれないけれど、どのバンドであれ、そうやって一つのアルバムを完全再現すると、ショー自体がバンド・オーディエンス双方にとって特別なものになるよね。
ロジャー・ウォーターズの “Wall”しかり、Pink Floydの”Dark Side of the Moon” しかりだ。
イギリスのファンとの繋がり
10:35
J: あの時は、ステージに出て行った時に感じたオーディエンスからの歓迎もすごかったんだけど、それは僕らにとって二重の意味で素晴らしい出来事だった。
自分達の単独ツアーなら(自分達のファンしか来ないわけで)そうなっても不思議はないけれど、あれはフェスだからね。必ずしも皆が特定のバンドを観に来てるわけじゃない。
だから、あの歓声を聴いた時はまるで自分達のライブかのように思えたよ。
もちろん、実際には他に素晴らしいバンドがたくさん出てたわけだけど、ステージから感じた印象としては、そこにいたほとんどの人達が、ヘッドライナーとしての僕らのショーに夢中になってくれているように見えたんだ。
僕がそこに特別な思いを抱いた理由は、これまでずっとアメリカとイギリスでのDef Leppardの人気の差について吹聴する連中がいたからなんだ。
実際にはそこまで大きなギャップは無かったのにね。
これ、偶然にもつい先日違う場所でした話なんだけど、1996年といえば、僕らのようなバンドにとってはシーンが悪い方向へ進み始めた頃だ。
I: そうでしたね。
J: 僕らは”Slang” アルバムをリリースし、評判こそ良かったものの売り上げは振るわなかった。
そんな時でも僕らはウェンブリーを2日間ソールドアウトにしたんだ。同じ頃、フルメイクアップで再結成したKISSは、何とか一晩をソールドアウト、という感じだった。
もちろん、KISS をディスる意図で僕はこの話をしてるんじゃない。
僕らにとって、UKのファンベースというのは長年それほどまでに力強いものだと言いたいのさ。
いつもメディアが変に書き立てて、それを信じた一部の連中がまたそういう話を広めていく。
でも、特にこの12年ほどをかけて僕らはそういった戯言を全部ひっくり返してきたし、僕らとファンの強固な繋がりは、もう全く別のレベルに進化したと言えるよ。
終/
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