ジョー・エリオット (Def Leppard) #1 Monsters of Rock 1986


ロック系インタビュアーとしてお馴染みのカイリー・オルソンさんが、イギリス最大のロックフェス、ダウンロード・フェスティバルのプログラムの一環で、Def Leppard のジョー・エリオットにインタビュー。


過去の出演時の思い出をジョーが語りました。



今回の箇所では、彼らが初めて出演した1986年の話が語られています。


I: インタビュアー

J: ジョー



Monsters of Rock と呼ばれていた頃


1:10


I: 初めてダウンロードフェスでプレイした時のことを覚えていますか?


J: あぁ、覚えているよ。あれはまだイベントの名前がダウンロードになる前、モンスターズ・オブ・ロック時代の1986年だ。



リック・アレンにとって交通事故後初めての大きな舞台だった。


僕らはアイルランドでウォームアップショーを5公演やり、その後がこのイベントだったんだけど、出番はトリから3番目、僕らにとっては完璧なポジションだったよ。


当時、アメリカでは僕らのレコードがめちゃくちゃ売れてたけど、イギリスでは ”Pyromania” はそこまで大きなセールスになっていなかった。



ありがたいことに、今でこそ本国のファンからのサポートもアメリカ並みだけど、当時のイギリスでは「好奇心をそそる」程度のバンドだったんだ。


”On Through The Night” がトップ20、”High N’ Dry” がトップ30に入ったぐらいで、イギリスでは決してビッグバンドではなく、シアタークラスのバンドだったよ。



「極悪レミー」の忠告


2:10


で、初めてのモンスターズ・オブ・ロックでは、僕らより上にいたのがオジー、Scorpions、僕らより先に出たのがMotorhead とBad News (TV番組の企画から生まれたバンド)だ。



当時、彼らはTVの新作用に撮影を行っていてあのフェスに出たんだけど、ステージに向かってドリンクの瓶を投げつけるようにオーディエンスに呼び掛けたんだ。


(*2:30 カイリーさんのなんてバカな・・・・という表情・笑)


悲しいことに、次にステージに上がったMotorhead がプレイしてる最中にもボトルは飛んできた。


そこでレミーは素晴らしいスピーチをやってくれたんだ。



「オレはこんな状況を黙ってやり過ごせるほどの若手じゃないぞ。今すぐやめろ!」とね。


オーディエンスもそれに従い、僕らが出て行った時にも何も飛んでくることはなかったよ。


I: レミーがそう言ってくれてラッキーでしたね(笑)


J: ほんとだよ、ありがとう、レミー!(笑)



リックの事故後、初の大舞台


2:50 


J: さっきも言ったように、僕らは「興味をそそるバンド」だった、色んな意味でね。


あの段階で、(イギリスの)多くのロックファンはオレ達の存在自体は知っていて、ライブを見たことがあって既にファンの人もいれば、曲は聴いたことがあるけどライブは見たことが無いっていう人もいた。



ところが、リックが事故で腕を失ったというニュースは誰の耳にも届いたわけさ。


この出来事を通じて、僕らがアメリカで大人気らしいということを知った人達も結構いたと思う。


そして、そこから少しずつイングランドでも売れるようになっていった、という感じかな。



リックの事故の後、僕らはバンドを継続するにあたって、この件を大ごとにしないように決めていたんだ。


変な同情を誘うためにこの一件を利用したくなかったからね。



凄まじかったエネルギー


3:32


ところが、あの日のモンスターズ・オブ・ロックのステージでは、ショーが進むにつれオーディエンスからの熱量が明らかに膨らんでいったんだ。


僕は「これはちょっと何か言及した方が良いかも…」と思い始め、スティーヴ・クラークがソロを弾いてる間にフィルの耳元に寄っていき、「なぁ、これは何か一言話した方が良いかもな」って言ったら、「ああ、そうしよう」って(笑)



その後、僕は改めてリックのことをオーディエンスに紹介したんだけど…


以前、この話をよくヘアドライヤーに例えて話していたんだけど、オーディエンスから発せられるポジティブなエネルギーが「聞こえた」だけじゃなく、「感じられた」んだよ、まるでドライヤーの温風みたいにね。


あのエネルギーはほんとに凄かったよ。あれはリックにとっても、皆にとっても大きな安堵になったと思う。



あと、Queen のブライアン・メイが、僕らを観るためにわざわざロンドンから車で来てくれたんだよ。


「キミ達を観に来たんだ」と彼から聞いた時は、本当に嬉しかったし光栄だったな。


続く…