B.ウィットフォード (Aerosmith) × J.ボナマッサ #2


一人のアーティストとしてのみならず、もはやコンテンツ・クリエイターとしても才能を発揮しているブルースギタリスト、ジョー・ボナマッサ。


彼がエアロスミスのブラッド・ウィットフォードを迎えたインタビューの訳・後半です!



今回のテーマは、「デビューアルバムのレコーディング方法」「ジョー・ペリーとの役割分担」「セットリストへの不満」です。


J: ジョー

B: ブラッド



1枚目のレコーディング方法


16:40 


(近年ではギターを実際に弾かなくてもギタートラックが作れるという話の流れで)


J: あなた方の昔のレコーディングは、多少の修正やオーバーダブはあったにせよ、せーので弾いた音が基本でしたもんね。


そうやってバンド全体でライブレコーディングすることで、そういった過去の作品が特別な存在になったと思われますか?



B: 間違いないね。


レコーディングではその曲の本質を捕らえなきゃいけない。ボーカルやギターソロは後から被せるとしても、せーのでプレイして、その「炎」を捕まえられるかどうかだ。


エアロが最初のアルバムをレコーディングした頃なんて…スタジオにはレコーディング中だと点灯する赤いライトがよくあるだろ?


オレ達が一枚目を録った時は、その赤いライトの電源を抜いたんだ。


なぜかというと、バンドで一曲を通しでどんどん練習していって、プロデューサーが「よし、いい感じになってきたな!今すぐ録ろう!」と言ってボタンを押すだろ?



するとその赤いランプが点灯し、急に緊張し始めてさっきまでのプレイが出来なくなるってわけさ。


(*この現象、俳優やミュージシャンの間ではよくRed Light Fever と呼ばれています・笑)


だから、オレ達はそのライトが点かないようにして何度もバンド全体でプレイし、知らない間に(プロデューサーの)ジャック・ダグラスがテープを回していて、「よし、今のテイクでOKだ!録れたぞ!」って感じでやってたのさ。



でも、ギターソロを録る時は、「最初のテイクがいつもベスト」という気持ちでやってたよ。


感覚が完全に新鮮な状態で上手くやれないと、どんどん考え過ぎてしまって「美味しいところ」を逃してしまう感じがするんだよ。



盟友ジョー・ペリー


18:25 



J: ジョーとあなたはどうやって役割を分けているのでしょう?あなた方お二人はそれぞれに個性的なスタイルをお持ちですよね。


数年前にフェスで共演させて頂いた時、幸運にもあなた方をステージ横から見させていただいたのですが、二人が常に交代で前に出たり下がったりを自然に繰り返している感じでした。


あれを見て、「あぁ、この人達はこういうお互いの気持ちを読むようなチームプレイを何十年と続けてきたんだな」と思いましたよ。


ああいうのはどうやって形成されたんでしょう?



B: あれはほんとに自然発生的なことなんだよ。オレ達は隣に座りあって「オレはここをこう弾くから、その後ろでキミは…」みたいな綿密な打ち合わせはほとんどやったことが無い。


ジョーが何かをプレイした時、オレは本能的にその後ろで弾きたいフレーズが思いつくとでもいうのかな。


そこにドラムのビートがあり、ベースが乗って…すごくオーガニックな感じだよ。



セットリストの難しさ


20:25 


J: あなた方にはたくさんのヒット曲がありますが、セットリストを作るのは難しいものでしょうか?


あれだけ多くのファンが訪れて、皆が聴きたい曲を全部やっていたらショーは3時間半になってしまいますし、どうやってヒット曲を盛り込みながらもバンドが飽きずにプレイできるようにしているのですか?



B: 近年オレが個人的に難しさを感じてるのはまさにそこだね。


オレ達には一定の「やらなきゃいけない曲」がある。彼らはそれを聴くためにそこに来てくれたわけだからね。


やる側としても、もちろんその声には応えたい。


で、それ以外はいわゆる「Bソング」(シングル以外の曲)から選曲していくわけだけど、オレはいつも “Rocks” や “Toys In The Attic” とか、過去のアルバムの素晴らしい曲を推してるんだ。



ああいう曲はもはやオレ達自身でなきゃ誰もプレイしないわけさ。オレ達がああいった曲をやらないって言うのは、自分達にもオーディエンスにも嘘をついている気がするんだ。


(カバーバンドでもわかりやすいヒット曲をやるのが普通ですからね)


でも、残念ながらそういったオレの案はほとんど否決されるんだ。


J: なるほど、バンドの中の民主主義ということですね…。


終/



先日、各音楽ニュースサイトでも話題になった、「再びエアロとしてステージに立つのかどうか疑いを感じている」というブラッドのこの動画内での発言。(32:00 ~)


私がエアロのファンということは置いといて(笑)、正直「んー、これはそういう意味で言ってるのだろうか?」と思いました。



エアロが年齢的な限界点に近付いているのは事実だと思いますが、ブラッドのその発言は、あくまで「ヨーロッパツアー」という話題の中で出たんですよね。


私があの部分を最初に聴いた時の印象は、「年齢的にも長時間のフライト・移動はきついし、オマケにEU・イギリスでのビザ問題もあるから」、現段階では再び「ヨーロッパで」ステージに立てるかどうかは疑問だ、というニュアンスに聞こえました。


NMEさん と amassさんの記事も訳し方が分かれちゃってて、私はNMEさん側の意味で受け取ったんですが、まぁ、ブラッドが何と言おうと、ヨーロッパツアーもボストンでの50周年記念コンサートももう決まっちゃってるんで…💦笑


やるっきゃない!!んです…