1999年、Buckcherry の一員としてデビューし、解散・復活・脱退と様々なアップダウンを経験した後、この数年は表舞台から遠ざかっていたキース・ネルソン。
そんな彼が先日、超ロングインタビューでお馴染み(笑)の Everyone Loves Guitar チャンネルのインタビューに応じ、赤裸々に語っていましたので、一部訳をご紹介したいと思います。
実は、キースは私のお気に入りのギタリストの一人なんですが、理由は ①弾き方がカッコいい ②作曲センスがスゴイ、この二点なんです。
例えるなら、 オリジナルGuns N' Roses のイジー・ストラドリンの役割に似ていた気がします。
初っ端から非常に興味深い今日の箇所、テーマは…
「レコード会社との駆け引き」
「ギターセンターで働く負け犬」
「顧客が人生の恩人」
です。
I: インタビュアー
K: キース
レコード会社は無視しろ!
31:50
I: Buckcherryはどうやってレコード契約に漕ぎつけたの?
K: まず、オレはタトゥーアーティストを通じてジョシュ(・トッド)と知り合った。
当時、業界のベテランだったヴィクターという男がいて、彼が僕らにアラン・ミンツという敏腕の代理人・マネージャーを紹介してくれたんだ。
アランがあらゆる面で僕らの面倒を見てくれてね。
「もしライブの後にレコード会社の連中が近づいてきたら、とにかくオレに回せ。全く興味が無いように振る舞えよ」と言われてたんだ。
実際のところ、オレ達は喉から手が出るほどレコード契約が欲しかったけれど、そういう状況に出くわした時は、とにかく「アランに電話してくれ」って全部断ってたよ。
I: それってわかっていても実行するのは難しいよね。
K: そうだね、ある種の心理戦だったよ。
で、ライブを重ねていくうちに少しづつLAでのファンベースが拡大していって、ライブではオーディエンスが一緒になって歌ってくれるようになっていった。
I: 素晴らしいね。
K: アランの指揮の下、オレ達は最終的にDreamworks Records と契約することになったってわけ。
I: それって、多分Dreamworks の初期の話だよね?
K: あぁ、そうだ。オレ達のデビューアルバムが彼らにとって初のゴールドレコードだったんだ。
ギターセンターで働く負け犬
33:45
K: 実は、このインタビューについてあまり深く考え過ぎないようにしたかったんだけど、一つどうしても話しておきたいことがあったんだ。
もし、今からオレが話すことをその人が聞いてくれたら、ぜひ連絡して欲しい。もう一度、その人と繋がりたいと思ってね。
I: 素晴らしい、どんな話?
K: 昔、オレがハリウッドのGuitar Centerで働いていた時のことなんだ。
当時、オレはほんとに色々なことでまいっててね。LAでの生活に馴染めず、ドラッグにも溺れ、ガールフレンドにもフラれて…
性格的にも荒み、歪んでしまっていた。Hollywood Blvdという立地もあって、あの店には色んなスター達が来店してたんだけど…
I: キミはあそこでギターを学んだのかい?
K: ん-、「技術の習得」に関してはまた別の話になっちゃうんだけど、あそこは「オレの知識が情熱に追いついた場所」だった。
たくさんの資料を読み、色んな人と話し、自分でギターを分解し…「1960年製と61年製のレスポールは製品として全く異なる、一体なぜ?」こういったことをどんどん学んでいったのさ。
でも同時に、オレはGuitar Centerで働いている「長髪でドラッグ中毒のみすぼらしい負け犬」だった。
救われた顧客の一言
35:50
で、そんな頃にThe BusBoysというバンドのメンバーだった、ブライアン・オニールという男がよく来店してくれたんだ。
このバンドの曲は、エディ・マーフィーの映画でもフィーチャーされたから、オレは彼が誰だか知っていた。
彼はそんな冴えないオレに対してもすごく心地よく接してくれていたんだけど、ある日、彼はオレの人生を訊いてきたんだ。(恐らく、色々お見通しのうえで)
B: 「なぁ、キミの現状はどうなんだい?」
K: (常習者っぽい活舌の悪さで)「いやぁ、オレはギタリストでソングライターなんだけど…」
B: 「それで?」
K: 「彼女に逃げられて、この街に友人もいないし…」
B: 「いいか、キミはまず考え方を変えなきゃだめだ。
他のやつらはキミと繋がろうと思って街を歩いてるんじゃない。キミ自身がそういうきっかけを作り出すようなことをしなきゃ。
キミのデモテープをオレにくれないか?」
K: 「いや、デモテープ作ってないんだ」
B: 「何?テープもないのか…?
いいか、(本気でやるなら)いついかなる時でも、作品を作り続けることだ。ある日偶然立ち寄ったセブンイレブンで、誰かがキミにデモテープを求めてくるかもしれないぞ。
それで向こうから連絡があって人生が変わる、なんてことが実際に起こり得るんだから。いいか、準備をしておくんだ。必ずだぞ!」
彼はこう言って店を出ていった。
その次の給料日、オレはすぐに4トラックのMTR(録音機材)とマイク、そしてドラムマシン一式を揃えて、曲作りを始めた。
彼からそう言われて以降、今日にいたるまで、オレは一度たりとも作曲の手を止めたことはない。
I: ほんとに!?
K: あぁ、オレはいついかなる時も「準備が出来てる」状態でいたかったのさ。
当時、オレにはバンドも無かったし、作品がどんな出来かは問題ではなかった。ただひたすらに、「チャンスへの足掛かりを生み出すために」作曲し続けた。
そしてその数年後、オレは完全にクスリを断ってから人生が好転し始め、その頃にジョシュと出会ったんだ。
続く…
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