ヴィヴィアン・キャンベル (Def Leppard) #4 / レスポール⇒シャーベル


先日ご紹介した、B.ジョンソン(AC/DC)×J.エリオット(Def Leppard) の対談動画。


残念ながら、コピーアップロードが相次いだためか、ブライアンのチャンネルで非公開となってしまいました。


良いお話が満載だっただけに残念…ということで、その穴埋めと言っては何ですが、以前途中までご紹介していた、ヴィヴィアン・キャンベルのインタビューの続きをご紹介したいと思います。



こちらはヴィヴィアンが使ってきたギターや機材を中心にしたインタビューなのですが、ギターを弾かれない方でも楽しめる内容でしたので、補足しながらお届けしたいと思います。


I: インタビュアー

V: ヴィヴィアン



レスポールからシャーベルへ


24:40 


I: あなたはDIOの”Holy Diver” のレコーディングのために(有名な黒の)レスポールを持ってLAに来たわけですよね?


でも、あなたはあの頃グラフィックが描かれたシャーベルのギターも数本使っていましたよね。


どういう経緯でレスポールから*シャーベルに?



V: あれは僕らがレコーディングに入る前、まだ作曲の段階だった頃に*グローヴァー・ジャクソンがスタジオにやって来たんだ。


誰とのつながりで彼がスタジオに来たのかはわからないんだけど、とにかくやって来て、ストラトタイプのギターに興味があるか、僕に尋ねてきたんだ。



*Charvel

EVHが自作したギターでパーツが使われたり、JジェイクE.リーが使用したことでも知られるブランド。



*Grover Jackson

有名なギタービルダーで、1980年には自身の名前を冠したブランドを創設。


1978年、先出のシャーベルが倒産しかかっていたことから、彼の会社がシャーベルの実質的な経営権を取得。



シャーベル/ジャクソンは、80年代のメタル全盛期を語る上では欠かせないギターブランドの2つで、EVHのように激しいアームプレイにも耐えうるギターを製造していた。



驚異的だったEVHの登場


25:25


*上で紹介したギターブランドが80~90年代前半にかけて人気となった背景には、やはりエディ・ヴァン・ヘイレンの存在が。


特に、エディの代名詞の一つとも言える、あの「ギュイーン!」という強烈なアームプレイは、レスポールやフェンダー系のトラディショナルなギターでは出せないサウンドでした。


ヴィヴィアンがシャーベルを使うに至った経緯を、エディと絡めて語っています。



V: 僕が初めてエディのプレイを聴いた時、この地球上の他のギタリスト達同様に、「な、なんだコレは!?」と思わされた瞬間だったよ。


唯一、僕がエディと同じくらいの驚きを感じたのはジェフ・ベックぐらいだった。


ジェフを初めて聴いた時も「自分はまだまだだ!」と思わされたのと同時に、「どうやって弾いていて、こんなスタイルは一体どこからやって来たんだ!?」と感じたよ。



「彼に比べたら、自分はギタープレイヤーじゃなく、ただのギターオーナーだ」とね。


で、エディのプレイを聴いた瞬間から、自分もああいう激しいアームを使ったプレイが出来る(=フロイドローズ)ストラトタイプのギターが欲しい!と思っていたんだ。


もちろん、レスポールにはアームが無いからね。そして、これは70年代後半の話だ。



ベルファストにはまだ大型のギターショップなんてなかったし、向こうではフロイド・ローズというアームの存在すら誰も知らなくて、全く新しいテクノロジーだった。


でも、当時僕はそういった楽器店へのアクセスが限られていたからこそ、持っていたレスポールで何とか良いプレイをしようと工夫し、その結果ロニー(ジェイムス・ディオ)に誘われたわけでね。


当時、もし僕がフロイドローズを入手できる状況にあれば、きっとロニーが嫌っていた「エディのコピー」みたいなギタリストになって、彼に起用されることも無かったと思う。



貰ったものの…


26:56


V: で、グローヴァー・ジャクソンがスタジオに来た時に、「うちのギター使ってみる?」と言って、フロイドローズの付いたギターをくれたんだ。


すごく嬉しかったのと同時に、ちょっと戸惑いもあったんだ。なんせレスポールとはあらゆる面で全く違うギターだからね。



あのギターのネックは広くて薄いタイプで、ネックに塗装がされていなかったから掌にまとわりつく感じがあった。


そしてボディはストラトのシェイプだから、構えた時にレスポールとは全然収まり方も違う。


色々弾いてみたんだけど、結局 “Holy Diver” のレコーディングではそのギターを使わずに、ツアーで予備のギターとして持っていたんだ。



その正体はなんと…


28:00


V: 確かあれはセントルイス公演だったと思うけど、ライブの途中でレスポールの弦が切れて、僕は急遽そのシャーベルを使うことになった。(↓28:15画像参照)



でも、やっぱりすごく弾きにくかったよ。


実はそのシャーベルのギター、このレスポールみたいに艶消しのブラックに見えるんだけど、実はあれは黒いテープでボディを覆っていたんだ。


Twisted Sisterのエディ・オヘイダを覚えてるかい?黒いギターに紫のスパイラルのペイントが施されたギターを使ってた…


I: あぁ、覚えてますよ!



V: あれだよ、グローヴァー・ジャクソンが僕にくれたギターってのは、まさにそのモデルだったんだ。(*よりによってこのド派手な!・笑)


I: へぇ、なるほど!


V: だから、僕はそのギターをそのままステージで使おうとは思ってなかったんだ。あれは明らかに彼のモデルだからね。


しかも、僕はピカピカの光沢あるギターよりも使い古された感じのある方が好きだったから、テープを貼ってこのレスポールみたいにしたんだ。



結局、あのギターを本格的に使うようになったのは、”Last In Line” アルバムの曲作りを始めた頃だったね。


あの時にはレスポールを使わず、アルバム一枚をほぼ全面的にシャーベルのギターで弾いたよ。それでやっと気持ちよく弾けるようになっていったんだ。


で、レコーディングが終了してツアーに出る前、僕はそのギターをシャーベルに送り、彼らは元々のペイントを剥がして ”Last In Line” のアートワークをボディにペイントしてくれたんだ。



”Last In Line” のアートワークはもう剥がしちゃったけど、今もそのギターはLAの倉庫に保管していて、僕が持っているシャーベルのギターの中では、あれが一番良い音がするんだ。


続く…