インタビュー訳シリーズ、今回は単発で、女性ドラマーのパイオニア的存在とも言えるシンディ・ブラックマン・サンタナを取り上げます!
シンディが注目を浴びるきっかけとなったのは、90年代のレニー・クラヴィッツとの活動。あの当時、あそこまで強烈なドラミングを見せる女性ドラマーは非常に珍しかったと思います。
彼女はその後、名ギタリスト、カルロス・サンタナと結婚したことでも話題に。もちろん、現在は彼のバンドのドラマーも務めています。
YouTube で偶然発見した最新インタビュー、お楽しみください!
C: シンディ
I: インタビュアー
性別や人種は関係ない
1:10
I: あなたの長年のキャリアにおいて、影響を与えた女性アーティストは誰ですか?
C: もちろん、何人かいるし実際に今から名前も挙げるけど、私は彼らを性別や肌の色、国籍なんかで分類してはいないの。
それがどういうバックグラウンドから来ようと、私が感じたインスピレーションはインスピレーションであり、私が好きなのは彼らの創造性だから。
具体的にに影響を与えてくれた女性を挙げるとすれば、まずは私の祖母二人ね。二人ともピアノをプレイしていたし、母方の方はプロのクラシックピアニストだった。
そして、バイオリニストだった私の母も大きな影響を与えてくれたし、共にシンガーである姉と妹は、今でも私にとって素晴らしい影響を与えてくれるの。
あとは、ビリー・ホリデイの影響は大きかったし、サラ・ヴォーンも大好きよ。
ストリートでのプレイ
3:15
I: あなたのキャリアはbuskingからスタートしたそうですが、それはパフォーマーとしてあなたにどんな影響を与えたと思いますか?
C: えーと…今b"a"sking って言った?
I: b"u"sking です、路上パフォーマンスのことです。
C: なるほど、そういう意味で使うのね、知らなかったわ(笑)
二人: 笑
*busking
「路上でパフォーマンスする」という意味の動詞ですが、私の印象ではなんとなくイギリス系の英語の方で多く使われている印象があります。
ちなみに、シンディはアメリカ人、インタビュアーはオーストラリア人です。
C: 私がNYに出て一年目・二年目…1982~83年の夏は、週に五回ストリートでプレイしていたわ。
あれは本当に素晴らしい経験だった。
毎日昼の12時から夕方6時まで、まるで二日分のプレイを一日に凝縮してやっているかのような感覚だったわ。
自分の楽器に長く触れられたし、勉強で学んだことや他のNYのプレイヤーを見て学んだことをすぐに応用してみたり…テクニックからアティチュード、あらゆることをリアルタイムで試していったの。
あの頃、ドラムをプレイしている時間の量と観聴きしたミュージシャンの数はほんとにすごかったわ。
ストリートでプレイすることのもう一つの素晴らしさは、立ち止まって耳を傾けてくれる人がたくさんいたこと。
そして、その中には元ミュージシャンでホームレスになってしまった人も結構いたの。
彼らは私の演奏に足を止めてくれて、昔の業界の話や体験談を色々と聞かせてくれたんだけど、すごく興味深い話とかもあった。
で、ある日私は友人の音楽ライターに電話をして「ねぇ、こんな話を聞いたんだけど、これって本当にあったことなの?」って聞くと、「ああ、それは真実だ」って感じでね。
本当に素晴らしい時代だったと思う。
リズム隊は一体!
5:35
I: バントにとって、ドラムとベースのリズムセクションが担う役割は非常に大きいと思いますが、これまでの活動でピッタリ息が合ったベースプレイヤーはいましたか?
C: もちろんよ。
私達、ドラムとベースはリズムセクションとして一体にならなきゃいけないからね。
あと、そうやって「この人はどういうタイプのベースプレイヤーだろう?」と探っていくことも非常に楽しいわ。
ビートに対して後ノリの人もいれば前ノリの人もいるし、ドラムにスペースを残してくれる人もいればそうでない人もいる。
その中で私の役割は当然変わってくるわけで、そうやってベーシストがやりたいことを読み解いていくのは楽しいし、それに応じて自分を適応させていくわけ。
特にばっちりハマったベーシストと言えば、レニー・クラヴィッツのバンドで長年一緒だったジャック・デイリーとか、フェリックス・パストリアス(有名ベーシスト、ジャコの息子)もその一人ね。
I: 今、名前が出たフェリックスはあなたのバンドでプレイしているわけですが、父親のジャコ(パストリアス)とプレイしたことはありますか?
C: 残念ながら一緒にプレイしたことはないんだけど、面識はあってね。彼は私にとても良くしてくれたの、絶対に忘れないわ。
彼が残してくれた素晴らしい音楽だけでも私達にとっては十分なんだけど、私個人の話をすると、昔NYで、彼やチック・コリア、マイルス・デイヴィスらが出演する野外フェスティバルがあってね。
その時、私はチケットを買うお金が無かったんだけど、昼間に行けばサウンドチェックの音とか聴けるでしょ?
それで早い時間に行ってみたら、ジャコが私を見つけて挨拶してくれて「今晩のショー、来るんでしょ?」って訊いてきたの。
私はお金が無いって言うのが恥ずかしかったから、「残念だけど、チケット持ってないの」とだけ言ったんだけど、彼はそれで察したみたいでね。
それで、「あそこのゲートに8時においで。僕が入れてあげるから」って言われて。
私は遅れないように7時半からそこで待っていたら、彼は8時ピッタリにベースの機材と一緒に現れて、そこにいたセキュリティに一言言って私を一緒に入れてくれたのよ。
終/
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