ダグ・アルドリッチ #1 / 運&Dioからの最初のオファー


このコロナ渦の中、私がYouTubeで最も多く顔を見ているミュージシャンが、恐らくトッド・カーンズです。



Slashのバンド (Slash featuring Myles Kennedy and the Conspirators) での表立ったツアーはもちろん、彼がベースにしているラスベガスでのセッション系の仕事も影響を受けているはずですが、その外での活動が無いことを逆手に取り、様々なリモートトーク系動画に出まくっているトッド。


今回は自身のチャンネルで、The Dead Daisies のダグ・アルドリッチをゲストに迎え、色々と興味深い話を展開しています。



T: トッド

D: ダグ



渡り鳥プレイヤーと運


17:10


T: 先日、あなたとのインタビューの内容を考えていた時に思ったんですが…


昔、よく音楽雑誌を見ていた頃、ページをめくると「あ、またこの人だ」みたいな感じであなたの写真をよく見つけたんです。



確か、最初はLionで、しばらくすると今度はHurricane の記事であなたを見つけて、私の中でダグ・アルドリッチという金髪のギタリストは、そうやって(バンドを移りながら)キャリアを築いていった人なんです。


これはグレン・ヒューズとも話したことなんですが、僕らみたいなプレイヤーは、誰かと出会って「あ、キミはあのバンドでプレイしてる人だよね?」って言われた時には、もう既に別の新しいプロジェクトやバンドにいるんですよね。



D: (笑)


T: いつもこんな風に思うんです、例えば23歳の頃にエアロスミスにいて、65歳になってもなお同じバンドでプレイしてるって、いったいどんな感覚なんだろうと。


でも、僕らの場合は23歳の頃にはこれをやってて、その後にはこれをやって…みたいに、「ギターを弾いてる」という意味ではずっと同じことですが、でもキャリアを通して全然違うバンドや仕事を数々やってきましたよね。


すごく興味深い旅だな、と思うんですが。



D: ほんと、時が過ぎるのは恐ろしく速いし、それだけの年月を重ねてもまだギターを弾いてるだなんてね。


T: この仕事について話す時、僕がいつも引き合いに出すのが、KISSの”God Gave Rock N Roll To You” の歌詞なんです。


ポールが歌う “It’s never too late to work nine-to-five”=「普通の9時~5時の仕事をやるのに遅すぎることなんてない」という歌詞を聴くと、いつも身震いするんですよ(笑)



僕らの場合、ある日誰かがやって来て「お疲れ様。長年のロックンロールへの貢献に感謝します」と退職祝いの金の腕時計をくれるわけでもなく、むしろある日突然仕事関係の電話がかかってこなくなって、『ウォールマートで働くか』ってなるかもしれないわけで。


でも、あなたの場合は色んなバンドで活動しながらも、ずっと上向きに歩んできたわけで、それを見るのはすごく勇気づけられますよ。


D:オレは本当にありがたく思ってるんだ。


人々が理解すべきなのは、この仕事には間違いなく「ある程度の運」が大きくかかわってくるということだ。



「適切なタイミングで適切な場所にいること」がとても大切なんだ。


キミはさっきLionの名前を出してくれたけど、もちろん、オレはあのバンドが自分にとってのAerosmith やWhitesnake になって欲しかった。


僕らは良いレコードを作ったけど、ちゃんとしたサポートをレコード会社から得ることが出来なかった。


手短に話すと、そういうことが重なってバンドは解散したんだ。



Dio から最初のオファー


20:10


実は、Hurricane に加入する前に色んな仕事をパスしたんだけど、その中にはDio の話も含まれていた。


最終的に、もっと後にあのバンドに加入することにはなるんだけどね。


ある日、当時ギタリストを探していたロニーとスタジオに入ることになったんだけど、オレがコードをジャラーンと鳴らしただけで、彼は「うちのバンドに入って欲しい」と…



T: (笑) 最高のオーディションじゃないですか!


D: でも、あの当時、オレはまだ全然心の準備が出来ていなかったんだ。


自分のバンドでの成功を諦めきれないというかさ…。


オレ達はメンバー全員で同じ部屋に住み、オレのライブ用のスピーカーがキッチンテーブルだった。キミもわかるだろ?(笑)



T: めちゃくちゃわかりますよ(笑)


D: そして、ライブの日には部屋の中がすっからかんになるんだよな(笑)あの頃は「機材が家具」だったよな。


そんな共同生活をしていたから、「こいつらを残してオレだけ出ていくなんて…。今は苦しいけれど、オレ達は絶対に成功を掴むんだ!」って信じてた。



でも、バンドが解散して他の選択肢を模索せざるを得なくなり、マネージメントがHurricane と同じだったことから、あのバンドに入ったんだ。


(*ちなみに、Dio加入時の話は 過去記事 でどうぞ)


続く…



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